復帰直後の沖縄〈50年前きょうの1面〉7 月18日「ロープウエーで瀬底と山川結ぶ」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。

 

 日本「復帰」直後の1972年7月18日の琉球新報1面トップは、「来年3月までに用地確保/海洋博で協力体制/副知事らきょう上京/関係市町村・県」との見出しで、国際海洋博覧会の開催に向けて用地確保が必須で県と関係市町村が協力して進めていく方針を紹介している。関連記事で「ロープウエーで瀬底と山川結ぶ/海洋博協力局、知事に説明」との見出しで、屋良朝苗知事が海洋博会場を視察する中で事務局などから説明を受けた内容を伝えている。

 米軍が沖縄占領後に建設して復帰前に原状回復もないまま返還された本部町の上本部飛行場について、防衛庁の島田豊か事務次官が会見で自衛隊として「上本部飛行場使わぬ/検討すらしていない」と述べた記事を掲載している。上本部飛行場をめぐっては、増原恵吉防衛庁長官が沖縄海洋博覧会の関係閣僚会議で「自衛隊が那覇空港を使用することになるので、上本部飛行場の整備がのぞましい」と述べたことで、上本部の自衛隊利用が焦点となっており、島田次官の発言はそれを打ち消す格好となっている。

 陸自の沖縄配備に関して「小銃など初めて沖縄に輸送/臨時那覇派遣隊要員20人も」との見出しで、陸自の小銃64式が85丁、短銃11丁などの武器が沖縄に空輸されてきたことを伝えている。

 ドル―円通貨交換に伴う差損補償について「個人には無理/首相言明/事業、補助率でカバー」との見出しで、政府方針が示されたとの記事を掲載している。

 沖縄の人民党について「共産党への〝合流〟打ち出すか/人民党、20日の結党式典で」との見出しで、結党25周年を迎える式典で今後の組織のあり方について何らかの方針発表があるのではと注目されていることを紹介している。

 グアム配備のB52米戦略爆撃機の嘉手納基地飛来を巡って沖縄では抗議と再飛来拒否の訴えが上がっていることに関連し「飛来したB52は新型/防衛庁内局が明らかに/2万キロの航続距離をもつ」との見出しで、航続距離が従来型より伸びた新型機であることを伝えている。

 このほか「原水禁(沖縄大会)が閉会/自衛隊配備反対など決議」や「日中で意見交換/きょう自・公・民党首会談」との記事も掲載している。

 

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 5月15日で復帰を迎えたが、沖縄を取り巻く状況は復帰して変わったこともあれば、変わっていないこともあった。琉球新報デジタルは、復帰を迎えた沖縄のその後の姿を琉球新報の紙面でどう記したか、引き続きお届けしていきます。