嘉手納元駐機場への格納庫計画、来年10月にも施設着工 米下院が予算案可決 


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 米軍嘉手納基地内の元駐機場「パパループ」での防錆(せい)整備格納庫建設計画を巡り、米国防総省が2023米会計年度(22年10月~23年9月)予算案に、同施設整備費約7700万ドル(約107億円)を計上していたことが分かった。承認されれば来年10月着工、27年11月の完成を見込む。米下院は14日、同施設整備予算を含む国防権限法案を可決した。

 予算要求書によると、総工費は3億700万ドル(約425億円)となる見通し。約3千平方メートルの既存施設を取り壊し、総面積を約1万4千平方メートルに拡張して「パパループ」付近に建設する。さびの処理や修復・再塗装のための格納庫スペースのほか、危険物質や腐食防止用具の保管庫なども併設する。

 1965年に建設された既存施設はC130輸送機用で、より大型のKC135空中給油機やE3早期警戒機などは施設内に収まらないという。現在はローラーで塗料を機体に塗る方式だが、施設拡張によってスプレーを使って塗る方式に変更となる。米政府は予算要求書で「計画が実行されなければ、要員が健康と安全に有害な環境で作業を継続することになる」と建設の必要性を主張する。

 住宅地に隣接する「パパループ」では米軍機の一時使用が長期化している。今回の格納庫建設が同区域の使用固定化につながる懸念や、環境汚染につながる恐れがあることなどから、嘉手納町は建設に反対の姿勢を示している。池田竹州副知事は15日、報道各社の取材に「パパループの暫定使用の日常化には、町民は大変な懸念を持っている。町や三連協と連携して対応したい」と述べた。

 沖縄防衛局は15日、本紙取材に「米側に町の懸念を伝達した。建設計画について地元への影響を最小限にとどめるよう、米側と調整し、しっかりと取り組む」と述べた。

 14日に米下院が可決した国防権限法では嘉手納基地内の施設整備について、第33救難飛行隊のHH60ヘリの格納庫建設費用の7100万ドル(約98億円)も計上されている。

(塚崎昇平、島袋良太)