復帰直後の沖縄〈50年前きょうの1面〉7 月19日「アルミ誘致、無害はっきりするまで保留」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。

 

 日本「復帰」直後の1972年7月19日の琉球新報1面トップは、「日中に積極的、解散には慎重/首相、公明・民社両党首と個別に会談/日中復交機運熟す/首相、自らの訪中示唆」との見出しで、田中政権で最大懸案の日中国交正常化について党首会談の様子を伝えている。

 沖縄・石川市へアルミ企業の誘致の話が出ていることについて「アルミ誘致/無害はっきりするまで保留/県・与党連絡会議/運営委で決定」との見出しで、宮里松正副知事が慎重な見方を示しているとの記事を掲載している。原稿では宮里副知事の発言として「アルミ企業の誘致は、専門家の多角的調査の結果、住民生活に害を及ぼさないことがはっきりしない限り、アクションは起こすべきでない」と紹介している。

 復帰後の米軍土地用地の民間地主との契約をめぐって「強制使用権/盆明けに発動か/防衛庁、軍用地契約拒否地主に」との見出しで、未契約地主に対する強制使用の発動が検討されているとの記事を掲載している。

 B52米戦略爆撃機の沖縄再飛来について県議会でも拒否決議が上がっていることに関連して、要請団と大平正芳外相との会談の様子を伝える記事を「米、こちらの意向理解/大平外相/B52で県議代表団に回答」との見出しで報じている。さらに関連で「B52常駐認めぬ/事前協議洗い直しを協議/田中・竹入会談」との見出しで、田中角栄首相と竹入義勝公明党委員長との会談で田中首相が言及したことも伝えている。

 

 

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 5月15日で復帰を迎えたが、沖縄を取り巻く状況は復帰して変わったこともあれば、変わっていないこともあった。琉球新報デジタルは、復帰を迎えた沖縄のその後の姿を琉球新報の紙面でどう記したか、引き続きお届けしていきます。