「アルゼンチンで琉球舞踊の魅力継承」県系3世の比嘉フェルナンドさん、教師免許を取得 「沖縄と海外の懸け橋になれたら」


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鳩間節を披露する比嘉フェルナンドさん

 琉球舞踊玉城流冠千会(仲嶺みどり2代目家元)の免許状授与式がこのほど、うるま市内で行われ、アルゼンチン出身の県系3世、比嘉フェルナンドさん(31)に教師免許を授与した。フェルナンドさんは祖父母が沖縄からアルゼンチンに移民した。父方が中城村、母方がうるま市勝連にルーツを持つ。

 舞踊家への道を歩み出したのはは9歳の時だった。親戚の85歳の「トゥシビー祝い」で踊るために練習を始めたのがきっかけで、道場に入門した。県人会で働く両親の影響で週末は県人会へ行くことが多かった。子どもの頃から県人会の催し物や沖縄県系人のトゥシビーなどのお祝い事、祭りで芸を披露してきた。

 転機が訪れたのは23歳の頃だ。琉球古典芸能コンクールの新人賞を受けるためにアルゼンチンから来沖して「新人賞」を受賞した。「当初は長く沖縄で琉球舞踊を習う予定ではなかったが、琉舞の魅力に引かれて本格的にのめり込んでいった」という。その後、沖縄に移住し、26歳で「優秀賞」、29歳で「最高賞」を受賞した。

 教師免許を取得後に「長年、琉舞をしていて、舞踊家としての一つの目標は免許取得だった。努力のおかげで取得できた。嬉しいです」とほほ笑んだ。「沖縄でもアルゼンチンでも次世代に琉舞の魅力を継承できたらと思う。目標と夢はアルゼンチンで教師授与のお披露目会か故郷公演を開くこと。アルゼンチンだけでなく、海外を回って沖縄の芸の文化、舞の魅力を世界中に届けたい。沖縄と海外の架け橋になれたらと」と意気込みを語る。

 アルゼンチンでは琉舞を学べる環境に限りがあるという。「今はインターネットが充実しているので、オンラインレッスンもできたらと思う。芸能を学びたい人で沖縄へ留学したい人がいたらサポートをしたい」と話した。

 琉球舞踊玉城流冠千会は、初代家元の池原シズさんが約30年前に創立した。うるま市石川に家元の道場、那覇市、大阪、米国カリフォルニア州に支部を構え、今や海外に流派が広がっている。

 冠千会からは今回、アルゼンチン出身の県系2世で、現在は県内在住の玉那覇ロミナ勝美さんが「師範」の免許を取得した。

 仲嶺家元は「流派が世界に広がり、初代家元に孝行ができたと思う。これからも流派の輪を広げてほしい」とさらなる精進に期待を寄せた。
 (安里三奈美通信員)