沖縄尚学、甲子園に一歩届かず 興南上回る9安打も好機に一本がでず 夏季高校野球沖縄大会決勝


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興南―沖縄尚学 3回1死一、二塁、マウンド上で言葉を交わす沖尚の先発・吉山太陽(左)と前盛魁来(小川昌宏撮影)

 夏の甲子園出場を懸けた第104回全国高校野球選手権沖縄大会の最終日は17日、那覇市の沖縄セルラースタジアム那覇で決勝を行い、興南が沖縄尚学に7―1で勝利し、4年ぶり14度目の優勝を果たした。夏の甲子園出場は13度目。決勝は興南の打線が三回につながり一気に5点を奪い、六回にも2点を追加した。沖尚は五回に1点を返すもチャンスであと一本が出なかった。興南は、兵庫県の阪神甲子園球場で8月6日に開幕する全国選手権大会への出場を全国で最も早く決めた。同大会には全国47都道府県から49校が出場する。

沖尚涙「あと一本」

 2年連続で目指した甲子園の舞台に、あと一歩届かなかった。沖縄尚学は興南を上回る9安打を積み上げたものの、好機に一本がでず。1得点にとどまり、勝負どころの決定力で勝敗が分かれた。昨年の甲子園を経験した捕手の前盛魁来主将は「投手陣を引っ張れず、チームを勝利に導けず悔しい」と唇をかんだ。

 準決勝も先発で粘投し、試合をつくった主戦の吉山太陽が三回に打ち崩された。直球主体に組み立てる予定だったが「変化球に手こずっているようだった」と配球を切り替えた。狙いは当たり一、二回は三者凡退に切って取った。

 しかしボール先行が目に付いた。三回に先頭に安打を許すと、次第に制球が乱れ、次々と甘い球をはじき返された。「気持ちの強さが足りなかった」。3失点で降板し「思うような投球ができず悔しい」と目を赤くした。

 投打で完敗したが、前盛は「僅差で戦える力はあったと思う。持っている力を出せなかっただけ。勝ちたかった」と反省しかない。課題を見つめて「今の2年は力がある。自信を持って取り組んでいってほしい」とさらなる成長を期待した。
 (謝花史哲)

興南―沖縄尚学 5回2死二塁、適時打を放つ沖尚の知花慎之助(中央)(小川昌宏撮影)

主軸2年 次こそ甲子園

 2~5番の主軸を2年生が担った沖縄尚学。5点を追う五回に3番知花慎之助が左前に打球をはじき1点を返して興南に一矢報いた。ここまで2年が主力として戦ってきたが、知花は「相手は自分たち以上に気持ちの強さがあったと思う」と敗因を挙げた。

 先頭打者を出しながらも進塁にことごとく失敗。強気で積極的な姿勢が大事な場面で出せなかった。「前の打席でチャンスをつぶしていた」と知花が五回に奮起し、何とか点をもぎ取ることができた。

 しかし反撃はここまで。知花は「もっと得点できるチャンスはあった。気持ちで負けた」と大きな経験になった。

 ここまで「伸び伸びとプレーさせてくれた」と先輩たちには感謝しかない。3年の思いを引き継ぎ、次こそ甲子園出場をつかみ取る。
 (謝花史哲)

途中登板し、好投した沖尚の東恩納蒼(大城直也撮影)

東恩納 敗戦糧に

 「あとは頼んだ」。沖縄尚学三回の守り。先発吉山太陽からマウンドを譲り受けた2年の東恩納蒼は「先輩を笑顔に変える。このピンチを抑え流れを引き寄せる」と強い気持ちで投げ込んだ。結果的に追加点を許してしまったが、七回まで20人の打者を相手に戦い抜いた。

 持ち味の直球で押し、2三振の被安打3で興南打線を抑え込んだ。六回に四球から失点につなげてしまったが、決勝の舞台でも気後れすることはなかった。

 「本格派投手として引っ張っていきたい」。今回の敗戦を大きな糧に「選抜も選手権も必ず出る」と雪辱を誓った。
 (謝花史哲)