格納庫建設「危険性や環境悪化の恐れ」 嘉手納元駐機場での計画撤回求め決議 嘉手納町議会


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 【嘉手納】沖縄県嘉手納町議会は19日、臨時会を開き、米軍嘉手納基地内の元駐機場「パパループ」地区への防錆(ぼうせい)整備格納庫の建設計画について、即時撤回を求める意見書と決議を全会一致で可決した。建設される施設について「危険性や環境悪化の恐れがある工場に類する施設と推察される」と近隣への影響を指摘し、住民居住地域に大規模施設が整備されることで「町民への基地被害の増大が予想される」として計画の撤回を求めた。

 建設予定地のパパループ地区は、第353特殊作戦群区域の拡張工事が完了するまでの「一時的な駐機場」として予定期間を超えて米軍機の使用が続いている。国道58号や県道74号を挟んで民間住宅地に隣接するため、騒音や排ガスによる悪臭の被害が出ている。

 航空機に塗装などをする防錆整備格納庫は2027年11月の完成が見込まれているが、新たな格納庫の整備はパパループ地区の恒常的な使用につながるとして嘉手納町や議会が反発を強めている。

 意見書を可決した町議会の仲村渠兼栄議長、町議会基地対策特別委員会の當山均委員長らは19日、沖縄防衛局、県庁、外務省沖縄事務所を訪ね、米軍に計画の即時撤回を求めるよう要請した。防衛局への要請は冒頭のみ報道公開され、小野功雄局長は「パパループの使用による影響を最小限に抑えるよう、米側と緊密に連携を図りながら、問題解決に向けて取り組みたい」と述べた。

 県で要請を受けた嘉数登知事公室長は「嘉手納飛行場のこれ以上の負担増があってはならない。嘉手納町と連携して移設計画の撤回を求めていく」と強調し、詳細な情報収集を進め、日米両政府への働きかけなどを検討していく考えを示した。

(名嘉一心、池田哲平)