特許登録、全国最下位 沖縄、製造業少なく 20年


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 企業や研究機関の「発明」を保護する特許権の出願登録件数が、県内は全国と比べて最低水準にあることが20日、沖縄総合事務局への取材で分かった。2020年の出願件数は全国44位の121件で、登録件数は全国最下位の45件だった。総合事務局によると、一般的に特許権の出願や登録は製造業が中心だ。沖縄は製造業が少ない上、企業の中でも特許権などの知的財産権への認知度や関心が高くないことが低水準の原因とされる。

 発明品などが特許登録されると、企業は模倣を防ぐことができるほか、他社との差別化を図ることができる。登録されると技術は公開され、20年間保護される。

 県内在住者の出願件数は15年は130件、16年は123件、17年は154件、18年は125件、19年は131件だった。そのうち登録されたのは15年は48件、16年は57件、17年は44件、18年は53件、19年は67件だった。総合事務局によると、県内の出願・登録状況は「全国比で極めて低い水準で推移」している。

 総合事務局はコロナ禍で観光産を中心とした県経済が大打撃を受けたことを踏まえ、産業構造の多様化を図るためにも知財の活用促進を提唱する。3月には10年ぶりに「沖縄地域知的財産推進計画」を改定し、知財の存在が企業間の競争を促し、新たな知財を生む「イノベーション型社会」の構築を目指す。本年度は大学などに蓄積された特許と民間企業をつなぐ人材育成事業を実施する。

 総合事務局知的財産室の担当者は「手続きが煩雑な知財の活用はまだハードルがあるのが現状だ。自社の技術が特許に値することを知らない場合もある。活用促進に取り組みたい」と話した。

 15~19年の間で、県内で最も特許を出願したのは恩納村の沖縄科学技術大学院大学(OIST)の41件だった。次いで琉球大が22件、沖縄県が12件だった。 (梅田正覚)