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【那覇】那覇市は歩道拡幅と車道幅縮小を計画している市道久茂地9号(病院通り)について、車道の幅を6メートルとする現計画から、6.7メートルとする案への変更を検討している。通り会が現計画に反対したため、通り会の要望に近づけた案を作成した。だが現計画は市の上位計画や住民参加のワークショップを経てまとめた経緯があり、市民から「市民協働を掲げる那覇市として、どう説明責任を果たすのか」と疑問の声も上がっている。
■6→6.7メートル
道路改良が計画されているのは県道42号から市道一銀線までをつなぐ約420メートル区間。現状の道幅は場所によって若干異なるが、おおむね車道が9メートル、両側の歩道がそれぞれ1.9メートルとなっている。市は那覇文化芸術劇場なはーとの建設計画を機に、歩道拡幅を計画した。地域住民参加のワークショップを経て2018年に現計画をまとめた。現計画では車道幅を6メートルに狭め、歩道幅を3.35メートルに広げる。電線地中化に伴う機器が歩道に設置される箇所では、実際に歩ける「有効幅員」は2.2メートルとなる。
計画に反対する通りの事業者や家主らは「久茂地三丁目大通り会」を結成し、車道幅を7メートルにするよう求める陳情を19年に提出した。理由として、車道が狭くなることで「納入業者や一般客が不便になる」などの懸念を訴えている。通り会の中にはワークショップに参加していなかった人もいる。
市は通り会と意見交換を重ね、車道幅6.7メートル、歩道幅3メートルの案も作成した。これはバリアフリー法で定められた歩道の最小有効幅員2メートルを確保しつつ、車道を最大限広げた案だ。
市は昨年10月、通り会や住民らを対象に説明会を開き、車道幅6メートルと6.7メートルの両案について意見を聞いた。通り会以外の参加者から、車いすやベビーカーの利用者、高齢者らが通行しやすいように現計画を支持する声が出た一方で、「早く整備してほしい」と6.7メートルを容認する声もあった。市側は住民主体の「まちづくり協議会」をつくり議論を続けたい考えを示したが、通り会は「これ以上妥協できない」と応じなかった。
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■「協議会」は断念
その後、市はまちづくり協議会で道路幅について議論する方針を変更した。今月23日に住民説明会を開き、道路幅を決めたい考えだ。6.7メートルで合意できれば速やかに進められるよう、設計変更の予算を22年度当初予算で確保している。道路建設課の担当者は方針変更の理由について「協議会で一から議論すると時間が掛かる」と話す。道路改良工事は当初、25年度に完了予定だったが、既に数年遅れる見通しだ。
通り会の男性は「現状の9メートルの道幅を求めているわけではない。何十年もここで商売をしている。ワークショップでまとめた案も尊重するが、当事者である通り会の意見も反映されるべきだ」と強調する。
一方、久茂地9号近くに住む野原巴さん(70)は「市民協働で進めてきた経緯を大切にしてほしい」と話す。市の総合計画で「誰もが移動しやすいまち」を掲げ、都市計画マスタープランで久茂地9号を歩行者優先道路と位置付けていることから「上位計画と整合性がとれない」と指摘し、市に丁寧な対応を求めている。
(伊佐尚記)