【記者解説】県が取れる「限界」の対策強化 政府の政策転換が必要 沖縄コロナ対処方針


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
医療ひっ迫が深刻化しているとして「医療非常事態宣言」を発出し、協力を求める玉城デニー知事=21日午後、県庁(代表撮影)

 新型コロナウイルスの新規陽性者数が連日5千人を超える中、県は21日「急激な感染拡大を抑え込み、県民の命を守るための緊急対策」として、22日から8月14日までの24日間の対処方針を発表した。国が休業などの強い行動制限に慎重姿勢を示す中、現時点で県が取ることができる「限界」の強化策を示した形となった。

 沖縄を含む、全国的な感染拡大はオミクロン株派生型「BA.5」への置き換わりが進んだことが要因とみられている。医療専門家らによると、県内の感染拡大のピークは現時点で見通せず、今後も新規感染者数が増加する可能性もある。

 現状でも厳しい医療提供体制を確保するためにも、県は新たな対処方針で夏場に集中するイベントへの対策を強化し、感染拡大のペースを鈍化させることを主眼に置いた格好だ。

 一方、会食に関しては県民に「4人以下、2時間以内」を要請するが、まん延防止等重点措置などによって実施された飲食店の営業時間短縮や休業などは求めない考えだ。制度上、重点措置は飲食業への制限がメーンとなってきたが、感染力の強い「BA・5」の特性上、飲食店のみの対策では限界があるとみている。さらに現行の国の制度では、他業種に休業などを求めた場合、予算措置が難しい状況もある。

 今後も感染拡大が続くことを見据え、玉城デニー知事は21日の記者会見で「現在の政府対処方針や政策の見直し、制度の見直しを求めないと立ち行かなくなる」との考えを示した。地方創生臨時交付金の弾力的な運用や拡充など国による政策転換も必要な時期にきていると言える。
 (池田哲平)