防衛白書に「与那国と台湾」解説、「思いやり」予算の印象払しょく狙いか?新たな「推し」名称も登場 22年度版公表


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 仲井間 郁江

 【東京】防衛省は22日、2022年度防衛白書を公表した。新たに与那国町の陸上自衛隊与那国駐屯地に関連し「与那国と台湾」という解説を追加した。台湾との近さを強調し、与那国島の沿岸監視隊について「各種兆候を早期に察知することでわが国の防衛に極めて重要な役割を果たしている」と記載した。

 国際情勢の項目では台湾に関する記述を増やした。

 ロシアによるウクライナ侵攻に関連づけ、台湾は「自身の防衛努力をより一層強化する」ために取り組んでいると説明。台湾に対する軍事的圧力を強める中国について「力を背景とした一方的な現状変更を試み、軍事活動を拡大・活発化させている」と警戒感を示した。

 在沖米軍に関しては従来通り地図付きで「沖縄は戦略的要衝に存在」とした上で、海兵隊など米軍の沖縄駐留が、日本のみならずインド太平洋地域の平和と安定につながっていると説いている。沖縄の負担軽減も掲げるが、普天間飛行場の返還・移設問題について「名護市辺野古移設が唯一の解決策」という従来の見解を堅持した。

 白書では普天間飛行場の県内移設について、軍事的理由を説明するが、日米両政府高官らからはたびたび政治的理由であるとの見解が示されている。

 新たな白書では、従来「思いやり予算」と呼ばれてきた在日米軍駐留経費負担の項目には、政府が言い換えのために推す新たな通称「同盟強靱(きょうじん)化予算」を併記した。

 環境問題への対応として、全国の自衛隊施設にある消火設備で真水をためているはずの消火用水槽から有機フッ素化合物の一種PFOS(ピーフォス)などが高濃度で検出されている問題にも言及した。防衛省は3月に結果を受け取ってるが、正式に公表していない。

 防衛白書には「一部の水槽から検出された」と記載。実際には、8割弱の施設でPFOSとPFOAの値が国の暫定指針値(両物質の合計1リットル当たり50ナノグラム)を超えている。

(明真南斗)