バスケW杯、財政苦しく 06年赤字、協会に苦い記憶 沖縄アリーナで来夏開催


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 日本バスケットボール協会が来年8~9月に沖縄市で行われる男子ワールドカップ(W杯)の資金繰りに頭を悩ませている。2006年に日本開催した男子世界選手権(現W杯)で約13億円の赤字を出した前例もあり大会収支が懸案として持ち上がっている。

来年のバスケ男子W杯会場となる沖縄アリーナ=5月、沖縄市((C)B.LEAGUE)

 06年大会はバスケット界で「非常に苦い経験」(日本協会の三屋裕子会長)と記憶される。巨額の赤字を発端に、協会の内紛に発展したからだ。当時と協会の体制は大きく変わり、今回は3カ国の共催と形式も異なるものの、現在の日本協会も財政面の余裕は乏しい。

 4年に1度のW杯は、五輪と並ぶ最高峰の大会で32チームが参加する。中国での前回19年大会は190カ国以上でテレビ中継され、30億人以上が視聴と注目度は高かった。今回、日本はフィリピン、インドネシアとの共催で、最新鋭の沖縄アリーナで計20試合を実施予定。米プロNBAの八村塁(ウィザーズ)、昨季ラプターズでプレーした渡辺雄太らの参戦も期待される。

2006年バスケットボール男子世界選手権のスペイン戦で、リバウンドを争う竹内譲=広島県立総合体育館

 課題が財源の確保だ。国内開催分の総予算は約40億円。公的な助成金のほか、スポンサー契約とチケット販売で最大20億円近い収入を見込むが、新型コロナウイルス禍が続けば影響が出ることも予想される。協会は自己財源から約3億5千万円を拠出する計画。ただ、資金不足に陥ればさらなる負担は必至で、協会の財政を直撃しかねない。

 協会の21年度決算は、東京五輪後の国際大会開催や、その大会でのコロナ対策、五輪で銀メダルを獲得した女子の報奨金などで支出がかさみ、約5億8千万円の赤字となる見込みだ。

(共同通信)