復帰直後の沖縄〈50年前きょうの1面〉7 月26日「米軍が〝思想調査〟」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。

 

 日本「復帰」直後の1972年7月26日の琉球新報1面トップは、「ヘリ空母など海空増強/防衛庁、4次防の主要項目まとめる/〝緊張緩和〟も無視/経費総額約5兆4千億円も」との見出しで、佐藤内閣から懸案で防衛庁が策定を目指す第四次防衛力整備計画(四次防)の内容を紹介している。佐藤内閣時代に、四次防がまだ策定される前にその内容を先取りする格好で予算案を国会に諮ろうとしたことから事態が混乱し、策定が見送られていた経緯がある。

 米軍が基地従業員に履歴書の提出を求めていることに絡んで「米軍が〝思想調査〟/履歴書提出求める/全軍労、拒否指令出す」との見出しで、履歴調査の中で本人はもとより、家族の加盟する政治団体や会、クラブなどを求める記入欄があることから全軍労は「新たな思想調査」だと重く見て調査拒否する方針を固めたとの記事を掲載している。

 記事では調査は海兵隊関係を中心にした調査で「履歴書欄のなかには『あなた、または家族のなかで過去あるいは現在、政治団体に加入したことがあるか。加入したことのある人は団体名を記入せよ』と所属政党、団体名を求めている」と記している。

 別の記事では沖縄を含む日本全体の海岸域で廃油ボールが漂着しているとの記事では「海は廃油でいっぱい/沖縄から太平洋岸一帯がひどい/規制を強化へ」との見出しで、海上保安庁の発表として日本近海にタンカーからの廃油が広がっている事態を伝えている。

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 5月15日で復帰を迎えたが、沖縄を取り巻く状況は復帰して変わったこともあれば、変わっていないこともあった。琉球新報デジタルは、復帰を迎えた沖縄のその後の姿を琉球新報の紙面でどう記したか、引き続きお届けしていきます。