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遅くとも2019年4月には計画されていた米軍嘉手納基地での防錆(ぼうせい)整備格納庫整備計画を、今年5月まで3年以上地元に説明しなかった在沖米空軍の対応は、基地運用での地元の理解や同意を軽視する姿勢の現れだ。
米側の予算要求書によると、地元への説明前の20年11月の段階で設計は始まっていた。設計完了は22年11月、着工は23年10月を見込み、完成は27年11月を目指す。建設費予算を含む国防権限法案の審議も進んでおり、米下院は今月14日に可決している。
嘉手納町は格納庫の建設予定地の元駐機場「パパループ」が民間地に近いことなどから、米軍機の一時的な使用に反発してきた。そうした背景から、同地区の使用固定化につながる格納庫建設は町民への基地被害増大が懸念される。在沖米空軍が本国議会での予算審議段階になって地元に説明したことは建設を既成事実化し、地元の反発による計画変更を避ける意図も透ける。
嘉手納町が民間地から遠ざける案を示すなどして反発する一方で、日本政府は「地元への影響を最小限にとどめるよう、米側と調整しながら取り組んでいく」(岸信夫防衛相)と繰り返す。米議会の予算審議の段階で実効性のある負担軽減を求めるのであれば、ワシントンの駐米日本大使館を通して米政府や議会に直接働きかけるなど、早急な取り組みが必要となる。
(塚崎昇平)