復帰直後の沖縄〈50年前きょうの1面〉7 月27 日「知事要請の自衛隊機出動が政治問題に」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。

 

 日本「復帰」直後の1972年7月27日の琉球新報1面トップは、「民主団体、行政責任を追及/知事要請による自衛隊機出動、政治問題化/ひび生ずる可能性/復帰協などにショック」との見出しで、屋良朝苗知事が自衛隊機での南北大東島への米輸送問題が復帰強などの民主団体から激しい抗議を受けたとの記事を掲載している。記事では民主団体の言葉として「自衛隊反対は屋良知事の重要な公約の一つであり、公約に反して沖縄の自衛隊配備反対闘争をなしくずしにするものだ」と記している。

 関連記事で「今後慎重に対処/緊急の問題で判断に悩む/抗議に知事談」との見出しで、自衛隊反対の公約を指摘して屋良知事の政治姿勢を問う声に屋良知事が「むずかしい問題であり判断に悩んだが、人命にかかわる緊急の問題であり、行政的判断で要請した。しかし、皆さんの抗議の趣旨も十分承知しており、今後、このような問題には慎重に対処していく」と応対したことを紹介している。

 このほか「米軍発射問題/あすから再開/中部東海岸/原水協、抗議の海上デモ」との見出しで、台風で延期されていた沖縄本島東岸の米軍ホワイトビーチ周辺での標的機発射演習を28日に実施するとの米軍方針を伝えている。

 このほか沖縄海洋博のシンボルマークが決まったとの記事を掲載し、「年内解散必至と判断/野党、一斉に全国遊説へ」との見出しで国会情勢を伝えている。

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 5月15日で復帰を迎えたが、沖縄を取り巻く状況は復帰して変わったこともあれば、変わっていないこともあった。琉球新報デジタルは、復帰を迎えた沖縄のその後の姿を琉球新報の紙面でどう記したか、引き続きお届けしていきます。