【記者解説】下地氏「国に頼らない」前面に 2氏との差別化図る 沖縄知事選政策発表


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自身のユーチューブチャンネルを使ってオンラインで政策を報告する下地幹郎氏=26日

 県知事選に立候補を予定する下地幹郎氏は政策発表で、「国に頼らない」沖縄づくりを前面に打ち出した。名護市辺野古の新基地建設に関する姿勢と合わせて、「オール沖縄」が支援する現職の玉城デニー氏、政権与党の自民党が擁立する佐喜真淳氏の2氏との差別化を図った格好だ。

 沖縄振興を巡っては「国とのパイプ」を強調するとみられる佐喜真氏と同様、基地問題で政府と対立する玉城氏の県政運営も国への“要請型”だと指摘。自身は民間投資などの活用を掲げ、「国におんぶにだっこ」だと評する従来の県政からの脱却を強調する。オール沖縄と政権双方に距離を取る層への浸透を図る狙いが透ける。

 目玉政策となる保育園から大学・専門学校までの教育費完全無料化については財源確保策も具体的に例示し、政策実現能力もアピールした。

 新基地建設については、軟弱地盤により埋め立て工事の進展が見通せない大浦湾側は埋め立てさせないと改めて主張。米軍普天間飛行場については、馬毛島への訓練移転により危険性除去に取り組むとする一方で、防災などの観点から閉鎖・撤去せずに軍民共用空港として使用する方針を示した。

 ただ、普天間飛行場の跡地利用への期待は大きい。米軍基地の存在が経済発展の阻害要因という認識が県民に広がる中で、市街地の中心にある同飛行場を撤去しないという主張がどこまで浸透するかは不透明だ。

 軟弱地盤を埋め立てさせないという公約の前提にも馬毛島への訓練移転がある。これらの実現性をどう担保するのかも問われる。
 (大嶺雅俊)