復帰直後の沖縄〈50年前きょうの1面〉7 月29 日「開発庁長官、沖縄県政を批判」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。

 

 日本「復帰」直後の1972年7月29日の琉球新報1面トップは、「本名長官が沖縄県政批判/能力以前、意欲欠く/機構も人事も不十分」との見出しで、本名武沖縄開発庁長官が就任後初の来県での印象を語った様子を掲載している。記事では批判と受け取られると困ると断った上で「もう少し、ある意味で私をつるし上げるぐらい問題を突きつけてくることを期待したが、それがあまりなくさびしく感じた」と所感を紹介している。

 これを受けた屋良朝苗知事の談話も「謙虚に受け止める/知事談話/自主主体的に取り組む」との見出しで別記事で紹介している。

 復帰に伴う大量解雇に直面する基地従業員の組合、全軍労の抗議大会の様子を伝える記事では「政府との対決強調/賃金遅払いなどに抗議」との見出しで日米両政府への批判の声を掲げている。

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 5月15日で復帰を迎えたが、沖縄を取り巻く状況は復帰して変わったこともあれば、変わっていないこともあった。琉球新報デジタルは、復帰を迎えた沖縄のその後の姿を琉球新報の紙面でどう記したか、引き続きお届けしていきます。