仕入れ値上昇「影響大」3割 県内企業、経営を圧迫 おきぎん研


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 おきぎん経済研究所(東川平信雄社長)は28日、県内企業536社を対象に5月下旬~6月中旬に実施した仕入れ価格上昇に関する調査結果を発表した。仕入れ価格の上昇が収益に及ぼす影響について「甚大な影響を受けている」が2・8%、「大きな影響」が25・0%と、3割程度が多大な影響を受けていると答えた。「多少の影響を受けている」も45・1%に上った。

 価格上昇の最大要因として25・6%が「円安」を挙げ、「ウクライナ情勢」23・3%、「新型コロナウイルス」21・1%と続いた。コロナ禍にウクライナ情勢、円安という「三重苦」が、多くの県内企業の経営を圧迫していることが浮かび上がった。要因が複合的で先行きが不透明なことから、影響の長期化と拡大が懸念される。

 業種別でも特徴が現れた。「円安」の回答割合が高いのは卸売業(39・3%)で、商材や商品の仕入れ価格高騰によるものと考えられる。「ウクライナ情勢」は製造業(45・8%)が多く、原材料や原油価格の高騰が原因と推察される。「コロナ」は建築業(26・2%)で最も多く、新型コロナによる生産ラインの停止や供給網の混乱などが影響しているとみられる。情報通信サービス業は「影響なし」の回答割合が高くなっている。

 多くの企業が仕入れ価格上昇の影響を受けているが、価格転嫁を「全くしていない」が14・6%で、「ほとんどしていない」が26・1%だった。「多少転嫁している」(17・4%)を合わせると、十分に転嫁ができていないとする回答が5割を超えた。

 価格転嫁が十分でない理由として、小売業では「顧客離れ防止」、建築業では「他社との競合」、土木業では「価格交渉が困難」を挙げた割合がそれぞれ高かった。 (當山幸都)