来年度、沖縄高専に観光系コース ICT活用の人材育成 産業収益向上目指す


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 沖縄工業高等専門学校(沖縄高専、佐藤貴哉校長)は2023年度から、デジタル技術を習得した観光産業などのイノベーション人材育成を目的に「地域共生デザインコース」を新設する。ICT(情報通信技術)などを使い、観光の高付加価値化を実現する人材を育てる。

 来年迎える同校の創立20周年を記念した新設で、15年度に開始した航空技術者プログラムに続き2つ目のコース新設となる。

 全4学科の学生を対象に、希望者が受講できる。沖縄高専に在学する5年間を通してツアーリズムサイエンス(観光科学)、沖縄の文化や歴史、起業家を生み出すためのアントレプレナーシップ(起業家精神)などを学ぶ。4年次にはホテルなどの観光業と連携したインターンシップも計画している。大学などと連携し、高度な知識を習得できる教育を実施する。

 沖縄高専は、観光資源は豊富だが収益性が低いという沖縄観光の課題に対し、付加価値を創造する力が必要だと考え、コースの新設を決定した。沖縄高専の強みであるICTやデータサイエンス、ライフサイエンスを活用し、観光産業の付加価値を創造できる人材育成を目指す。

 学生がそれぞれの主専攻に加えて、副専攻のような形で学ぶことを想定している。学科で必要な単位に組み替えることができるかなどをこれから検討していくという。

 佐藤校長は「DX化により観光産業の問題を直接解決できる。さらに農業などの観光以外の産業でも、ITで効率化するなど活躍の場ができる」と多方面で活躍できる人材を育成すると意気込んだ。

 21日に沖縄総合事務局が開いた観光人材育成の産学官協議会で、沖縄高専は講師派遣とインターンシップの受け入れを呼び掛け、共同研究・開発やコンテストに参加する学生へのサポートを依頼した。沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)の下地芳郎会長は「観光人材はこれまで文系が主だったが、沖縄観光の質を高めるためにデジタル化への対応は欠かせない。沖縄の産業を支える人材が輩出されれば嬉しい」と話した。

 今後は産学官協議会の参加者と議論し育成すべき人材像を明確化する。観光の経営や経済に詳しい学外の人材を教員に採用していく方針だ。 (與那覇智早)