密漁防止へ協議会 北部地区漁協、監視・啓発で連携


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「北部地区漁協密漁防止対策連絡協議会」の看板を設置する村田佳久代表(右)と安里政利副代表=28日、国頭漁業協同組合

 【北部】沖縄本島北部の沿岸や海洋で密漁が後を絶たない状況を受けて、九つの漁業協同組合でつくる北部地区漁協は28日、「北部地区漁協密漁防止対策連絡協議会」(代表・村田佳久国頭漁協組合長)を発足した。悪質な密漁による海洋資源の枯渇を防ぐため、パトロールや販売ルート撲滅に向けた仲買人・飲食店への啓発活動などに連携して取り組む。

 協議会は国頭、伊平屋、伊是名、伊江、羽地、今帰仁、本部、名護、恩納の各漁協でつくる。同日、国頭漁協で設立総会を開催し、事業計画としてパトロール、啓発活動のほか密漁情報の共有やステッカーなどの製作も申し合わせた。悪質な密漁やパトロールの人員確保に頭を悩ませていた国頭漁協が2年前、協議会設立を呼び掛け、同様に密漁に悩む各漁協が賛同した。

 北部全体の被害状況は今後まとめるが、国頭漁協は管内で2019年以降、密漁とみられる事案を69件(28日現在)確認している。高値で売買されるイセエビは被害が多く、県が採捕を禁じる体長20センチ以下の個体や抱卵した個体の密漁がみられる。シャコガイやヤコウガイの被害も出ており、SNSで情報共有した組織的犯行もあるという。

 村田代表は「漁業者が資源管理しても、密漁されたら意味がない。仲買人らに禁漁期間や漁業権者以外からの買い付けが違法であることを周知したい」と話した。今後、県や捜査機関と連携してパトロールを強化する。  (岩切美穂)