復帰直後の沖縄〈50年前きょうの1面〉7 月30日「沖縄県予算、693億円台に内定」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。

 

 日本「復帰」直後の1972年7月30日の琉球新報1面トップは、「現年度予算規模/693億円台に内定/各部局に最終内示/きょう最終決定2、3億の復活も」との見出しで、復帰してからの沖縄県の予算編成の最終内示を伝えている。

 予算関連では隣の記事で「あす問題点洗い出し終える/開発庁と県側/来年度の予算で」との見出しで、来年度の予算要求に向けて沖縄開発庁が沖縄県と進める事前打ち合わせの状況を紹介している。他府県にはない一括計上方式の沖縄県への概算要求。記事ではその進捗について「県各部から出されているのは必ずしも県全体として十分調整されたものではなく、各部それぞれの考えを説明、今後の予算編成に当たっての方向をつかもうというものだ。したがって開発庁側からの質問や意見表明もかなり多岐にわたったといわれる」と説明。その上で開発庁側の受け止めとしては「『県の要求はどこにあるのかわからない』ということであり他省との調整が十分なされないまま、見積もりをしているなど問題点が多いとしている」のだという。

 八重山への台湾産パインの輸入をめぐるパイン会社と農家との対立について「県のあっせんで解決/八重山パイン青果輸入問題/今期限り、奨励金交付」との見出しで、県の農水部長が乗り出して解決に至ったと伝えている。記事によると、八重山のパイン6社が台湾産のパイナップル青果を輸入しようとするのに、八重山の生産農家の八重山地区農民組合が輸入により自由化が促進され地元のパイン産業が破壊すると輸入阻止を訴えていた。

 

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 5月15日で復帰を迎えたが、沖縄を取り巻く状況は復帰して変わったこともあれば、変わっていないこともあった。琉球新報デジタルは、復帰を迎えた沖縄のその後の姿を琉球新報の紙面でどう記したか、引き続きお届けしていきます。