「沖縄報道、工夫必要」 復帰50年巡り指摘 全国紙記者、横浜でシンポ


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本土の読者に沖縄をどう伝えるか」をテーマにしたシンポジウム=31日、神奈川県横浜市のニュースパーク

 【神奈川】「本土の読者に沖縄をどう伝えるか」をテーマにしたシンポジウムが31日、横浜市のニュースパーク(日本新聞博物館)であった。沖縄復帰50年の報道にあたりどう考え、伝えたかを毎日新聞や共同通信の記者らが討議した。

 朝日新聞の編集委員兼論説委員の谷津憲郎さんは、沖縄報道の前提として「沖縄モノは読まれない」と、今年5月15日のネットでのアクセスランキングや、記事件数の復帰以降の推移から指摘した。「辺野古とあるだけでページビュー(PV)は下がる。沖縄の心や声を聞けという直球の報道も必要だが、一工夫した報道で最後に基地問題に着地するような記事も探っている」と話した。

 毎日新聞那覇支局長の比嘉洋さん、共同通信那覇支局長の儀間朝浩さん、元沖縄タイムス記者で現在神奈川新聞統合編集局編成部の田中大樹さんも登壇した。沖縄報道について田中さんは「愚直に書き続けるしかない」と強調。「沖縄の訴えは国家権力が法律や地方自治もないがしろにするということ。置き換えれば我がことになる。基地問題に関心はなくても人権、貧困が関われば同じ地平で考えられる」と述べた。

 比嘉さんや儀間さんらは、世代によっては沖縄戦や1995年の少女乱暴事件など前提知識を欠く読者もいると説明。「歴史を振り返るアーカイブの記事も載せて、関心のある人に応えられる空間の創設が必要だ」と指摘した。 (斎藤学)