「初代ひろしまアワード」に宮古島市の中学3年生 命の尊さと平和、広島と沖縄重ね 21年の全戦没者追悼式で「平和の詩」朗読


社会
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ひろしまアワードを受賞し笑顔を見せる上原美春さん=1日午後、広島市(家族提供)

 【宮古島】今年6月の宮古島市全戦没者追悼式で自作の詩を朗読した上原美春さん(14)=西辺中3年=が1日、広島県で開催されている第1回ひろしま国際平和文化祭(同実行委員会主催)で、音楽部門国内の部「初代ひろしまアワード」を受賞した。命を尊ぶ大切さを訴え続ける上原さんの言葉に沖縄県内外の人の心が共鳴し、受賞につながった。

 上原さんが2021年の沖縄全戦没者追悼式で朗読した自作詩「みるく世(ゆ)の謳(うた)」や、市全戦没者追悼式で朗読した自作詩「Unarmed(アンアームド、非武装)」を知った文化祭のリサーチチームがアワードの候補に挙げた。詩に記された非戦と平和継承への強い思いが「平和文化の醸成に多いに寄与する」と、1次から最終審査まで審査員の満場一致で受賞が決定した。

 1日、広島市で開かれた授賞式で、上原さんは原爆と地上戦という戦争の傷跡が残る広島と沖縄に思いを重ねた。「悲しみの過去を記憶として留めおく決意をした、広島の勇気とも通い合う教えではないか」と「命どぅ宝(命こそ宝)」の意味を壇上から語り掛けた。その上で「戦争の記憶が風化されゆく今、地上戦を知る沖縄の人間として命の尊さを、平和であることの意味を訴え続けていく」と誓った。

 ひろしま国際平和文化祭は今年初めて開催された。芸術で平和の種をまくと同時に、次世代へつなげて「広島の平和の意味」を広げていくことを目標に据える。

(佐野真慈)