伝統継承を応援 比嘉璃子・那覇・南部班


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written by 比嘉璃子(那覇・南部班)

 夏といえば祭り。でも2020年に入社して以来、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けてイベントはほとんど中止になった。そんな中、感染対策をしながら伝統継承のため、規模を縮小して行事を実施する自治体もある。

 先日、南城市玉城仲村渠を訪ね、6月カシチーの綱引きで行われるガーエーを取材した。チンク(金鼓)、どら、ホラ貝の音に合わせ、ガーエーシンカが六尺棒を揺らしながら1時間ほど踊る。写真を撮るのに必死だったが、リズミカルな響きにちむどんどんが止まらなかった。

 昨年は八重瀬町志多伯の七月綱(しちぐゎちぢな)を取材した。夕暮れ時の馬場に「ヒーヤ、ユイ」と掛け声が響くと同時に綱が高く持ち上げられ、2本の綱を上下させ綱ガーエーが始まった。竜のように舞う綱を見ながら、志多伯の出身だった祖母もいつの日か同じ光景を見たのだろうかと思いをはせた。

 何百年も地域で受け継がれてきた伝統には、ロマンを感じる。一方で、なり手不足も深刻化している。次世代に地域の伝統を継承する取り組みを応援したい。コロナ禍で中止になった行事も、来年こそは開催されて取材できますように。

(糸満市、南風原町、粟国村、渡名喜村担当)


ゆんたくあっちゃー 県内各地を駆け回る地方記者。取材を通して日々感じることや裏話などを紹介する。