戦跡考古学の當眞嗣一さんに「和島誠一賞」 グスクの世界遺産登録に尽力 文化財保存全国協議会


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第23回和島誠一賞に選ばれた當眞嗣一さん(提供)

 全国の考古学研究者が集う文化財保存全国協議会(文全協)はこのほど、文化財の保護や活用、普及などに貢献した個人や団体を表彰する第23回「和島誠一賞」(個人部門)に、沖縄考古学会顧問で戦跡考古学の第一人者、當眞嗣一(しいち)さん(77)=西原町出身=を選出した。同会によると県出身者の受賞は初めて。6月に東京都内で贈呈式が開かれ、記念の盾が贈られた。

 今年3月に開催された選考委員会で、選考委員らの推薦を受けた候補者3人の中から選ばれた。當眞さんは首里城をはじめとする「琉球王国のグスクおよび関連遺産群」が世界遺産登録された際、県の作業統括責任者として尽力。考古学として戦争遺跡を調査・研究する「戦跡考古学」を提唱するなど取り組みが評価された。當眞さんは「受賞にはとても驚いた。最も力を入れているのは、県内に400余りあるグスクの考査だ。考古学は自分で歩いて物を見ないといけない。図面に起こして本を出したい」と語った。

 當眞さんは1944年生まれ。68年琉大史学科卒。県立前原高校教諭を経て県立博物館主幹兼学芸課長、県教育庁文化課長、県立博物館館長などを歴任。現在はグスク研究所主宰。
 (田中芳)