復帰直後の沖縄〈50年前きょうの1面〉8 月4日「嘉手納で抗議大会、B52常駐化許さぬ」―琉球新報アーカイブから―


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 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。

 

 日本「復帰」直後の1972年8月4日の琉球新報1面トップは、「10日、嘉手納で抗議大会/B52常駐化許さぬ/復帰協執行委/政府へ波状抗議へ」との見出しで、復帰後も再三にわたって米戦略爆撃機B52の飛来が続いていることに対し抗議大会を開くことになったことを伝えている。復帰協執行委員会がまとめた情勢分析では「復帰後の2度を含めて、これまでは明らかに台風を理由にして、避難だといっていたが、こんどは天候不良を理由にしている。現にグアムは気象台の話によると雨が降っているだけで台風は来襲していない。これは戦闘作戦行動に支障をきたすためだけでなく、常駐へのエスカレートであることがはっきりする。さらに事前協議を空洞化し、ニクソン・ドクトリンに沿って、日本がその肩代わりを図っていることから見てまったく許せない」との見解を紹介している。

 関連記事では「最飛来あり得る/米大使館/社党の抗議に回答」との見出しで、米側の意向を掲載している。さらには「強い態度で対米交渉を/平良議長が外相に電報/県会、きょう対策協議」と沖縄側の反応も載せている。

 国政がらみでは「首相訪中/来月下旬が有力/正常化の動き活発に」との見出しで、田中角栄内閣の最大の懸案事項となる日中国交正常化に向けた首相訪中の日程も秒読み状態であることを伝えている。さらに関連で「中国は準備完了/竹入委員長が帰国/復交、今が絶好の機会」との見出しで、公明党の竹入義勝委員長の訪中報告で中国側の好感触ぶりを紹介している。

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 5月15日で復帰を迎えたが、沖縄を取り巻く状況は復帰して変わったこともあれば、変わっていないこともあった。琉球新報デジタルは、復帰を迎えた沖縄のその後の姿を琉球新報の紙面でどう記したか、引き続きお届けしていきます。