復帰直後の沖縄〈50年前きょうの1面〉8月9日「B52飛来、ベトナム戦争激化も要因に」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。

 

 日本「復帰」した1972年8月9日の琉球新報1面トップは、「ベトナム戦争激化も要因に/B52〝解釈〟また拡大/大平外相、飛来要請断れない/衆院沖特委」との見出しで、沖縄で反発jが強い米戦略爆撃機B52の嘉手納基地飛来を巡って、従来の悪天候による飛来理由に加えベトナム激化の影響にも政府高官らが言及し始めていることを紹介している。記事では、大平正芳外相が「悪天候でやむを得ないという判断で行われたものと理解している」「ベトナム戦争が激化しているため、そのカテゴリーで嘉手納基地を使うひん度が多くなったのではないかと心配している」と述べたという。関連記事では、衆院内閣委員会でのやりとりも紹介しており「空中給油の困難も飛来の理由に」との見出しで、大平外相の見解を紹介している。

 地元沖縄での反応として、復帰協がB52の最飛来などに対する抗議大会を計画しているが「会場使用控えて…/嘉手納商工会/B52抗議大会で要請」との見出しで、嘉手村納商工会が村内で会場を使って実施することを控えるよう求めたとの記事を掲載している。嘉手納村商工会としては「趣旨には賛成だが、69年の火炎ビン騒ぎが再発するおそれがあうため、村内の会場使用をひかえてほしい」と学校と復帰協に要望したことを紹介している。

 その復帰協。復帰に伴う自衛隊の沖縄配備に関連して「自衛隊募集拒否を/復帰協、屋良知事に要請」との見出しで、国家委託事業としての自衛隊員募集業務に反対するよう復帰協が県に要望を強めている様子を伝えている。

 

 

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 5月15日で復帰を迎えたが、沖縄を取り巻く状況は復帰して変わったこともあれば、変わっていないこともあった。琉球新報デジタルは、復帰を迎えた沖縄のその後の姿を琉球新報の紙面でどう記したか、引き続きお届けしていきます。