復帰直後の沖縄〈50年前きょうの1面〉8月13日「県有地は再契約しない、宮里副知事」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。

 

 日本「復帰」した1972年8月13日の琉球新報1面トップは、「県有地は再契約しない/宮里副知事語る/〝基地使用断る〟/防衛施設庁に衝撃」との見出しで、基地用地提供を巡り県有地について県として再契約しない意向を宮里松正副知事が示したとの記事を掲載している。記事では「軍用地の再契約を明確に拒否している豊見城村や那覇市の初の公用地法の適用通告をしたが、これまで県有地の再契約に態度を明らかにしていなかった県庁は13日、宮里副知事が記者会見『県有地の再契約は、いっさい行わない』との方針を明らかにした。これにより防衛施設庁は県有地に対しても公用地法、いわゆる土地強制収用法を適用せざるを得ないことになった」と記している。

 豊見城村の土地収用を巡っては「現地独断で通告/知らなかった施設庁幹部」との見出しで、米軍基地の土地の再契約を拒否している豊見城村と地主らに沖縄公用地法の適用を通告したのは現地の那覇防衛施設局の判断で、東京の増原恵吉防衛庁長官や防衛施設庁幹部は知らなかったという事実を紹介している。

 開会中の県議会での議論を紹介する記事では「基地内立ち入り調査も/屋良知事答弁/爆音対策に本腰」との見出しで、屋良朝苗知事の答弁内容などを紹介している。

 米軍相模原補給敞の戦車移動問題で「あすにも再開か」と、戦車移動を進める政府の方針を示している。同問題を巡っては記事で「根本解決についての政府部内の意見は、車両制限令14条(緊急自動車等の特例)に基づき『車両の通行の手続き等を定める建設省令』を改正、米軍の輸送車両を自衛隊の車両並みに通行許可を必要としないようにすべきである―との方向に傾きつつある/外務省ではその理由として①憲法98条は『日本国が締結した条約及び確立された国際法典は、これを誠実に順守する必要がある』と規定しており、これに照らせば日米安保条約に基づく米軍の基地間の移動を保証する措置が必要である②防衛施策の観点からみて、万一、米軍が日本国内で出動するような場合、現行政令のままでは行動の自由が大きく束縛される―の2点を挙げている」と紹介している。

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 5月15日で復帰を迎えたが、沖縄を取り巻く状況は復帰して変わったこともあれば、変わっていないこともあった。琉球新報デジタルは、復帰を迎えた沖縄のその後の姿を琉球新報の紙面でどう記したか、引き続きお届けしていきます。