復帰直後の沖縄〈50年前きょうの1面〉8月17 日「沖縄開発構想案まとまる/米軍基地整理も」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。

 

 日本「復帰」した1972年8月17日の琉球新報1面トップは、「沖縄開発構想案まとまる/経済企画庁/環境保全を強調/副知事に手交、米軍基地整理も」との見出しで、政府・経済企画庁が新全国総合開発計画(新全総)に追加する沖縄開発の基本構想の概要とともに、構想を沖縄県に手渡したことを伝えている。別稿で構想案の内容も詳報している。本記の文中では『沖縄開発の基本方針として企画庁構想は、沖縄を東南アジア諸国などに開く「南の玄関」として位置づけ、人的物的交流基地、または中継基地とするとともに、産業、観光開発を進め、本土との格差是正を目的にして、自立的発展の基礎条件を整備する考えだ」と説明している。関連で「基地整理がカギ」との解説記事も掲載している。

 県議会の委員会審査を伝える記事では「米軍弾薬輸送/国内法順守の義務/県警本部長、警察に通告あればよい」との見出しで、県警本部長の答弁を紹介している。記事では、米軍による弾薬輸送について県警本部長の答弁として「米軍による火薬類の運搬は、ストレートに全面的に米軍に国内法(火薬取締法)を適用されることはない、と解釈している。ところが、米軍もやはり国内法を順守しなければならない義務を帯びており、復帰前に警察から軍に現地法の趣旨を生かし通告するよう申し入れてある。安全性の確保は日米合同委で別個の取り決め事項があるように聞いている」と述べている。

 このほか「B52、最大級の北爆/ドンホイを中心に九波も」と、依然続くベトナム戦争での米軍の北爆の様子を伝えている。また「キ補佐官あす来日/首相と中国問題など協議へ」との見出しでキッシンジャー米大統領補佐官が来日して、田中角栄首相らと会談し、19日のハワイでの日米首脳会談に先立って会談する見通しを紹介している。

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 5月15日で復帰を迎えたが、沖縄を取り巻く状況は復帰して変わったこともあれば、変わっていないこともあった。琉球新報デジタルは、復帰を迎えた沖縄のその後の姿を琉球新報の紙面でどう記したか、引き続きお届けしていきます。