出会い 岩切美穂(北部報道グループ)


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written by 岩切美穂(北部報道グループ)

 先日、“出会い”があった。「大宜味村の木工房にアカヒゲが巣をつくった」との情報を受け行ってみると、なるほど、工房の棚の隅に巣が。ちょこんと座って卵を抱くホントウアカヒゲの雌が、不思議そうにこちらを見た。

 「木工房にアカヒゲ営巣」の記事を書いて10日余り。「ひなかえる」の連絡に、再び工房を訪ねた。3羽のひなが、餌を求め懸命に首を伸ばしている。外で虫を捕まえては数分おきに運ぶ親鳥。ひなに餌をやる瞬間を撮影しようとカメラを構えた私を警戒し、なかなか巣に近づかない。しゃがんで息を潜めること約10分、何とか撮った。「もっといい角度で」とさらに50分粘り数枚押さえたところで、雄にキッとにらまれた。「何だお前は」と言いたげな、ひなを守るその目がかわいかった。

 大人になって犬を飼い動物の魅力を知ったが、野生生物には関心が薄かった。鳥はどちらかというと苦手。恥ずかしながら今回の情報提供を受けた第一声は「アカヒゲって…何でしたっけ」だった。

 これまで「自然遺産が」「希少種が」と言われても正直心にあまり響かなかったが、こちらをにらんだあの子らに関わると思うと、名護でよく見かけるマングースの問題なども無関心ではいられない。見ること、大事です。

(国頭村、大宜味村、東村、伊江村担当)


ゆんたくあっちゃー 県内各地を駆け回る地方記者。取材を通して日々感じることや裏話などを紹介する。