沖縄県、国土強靱化拡充要望へ 一括交付金減額に対応 道路整備や河川改修に遅れ


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沖縄県庁

 沖縄振興特別推進交付金(一括交付金)が近年激減していることを受け、県は2023年度の沖縄関係予算の確保に向け、防災・減災対策を強化する国土強靱化(きょうじんか)予算の拡充を目指している。ハード事業の一括交付金の減額が道路整備や学校施設の修繕などのインフラ整備に影響を与えていることから、従来は一括交付金で実施してきた公共事業を国土強靱化予算で対応できないか、内閣府に要望する。

 国土強靱化予算は激甚化する風水害や巨大地震への備えを充実させるほか、インフラの老朽化対策や防災分野のデジタル化を推進する国の緊急対策事業だ。21~25年度の計画期間の予算額は15兆円規模となる。

 ハード事業の一括交付金は14年度の932億円をピークに年々減額を続け、22年度は過去最低の368億円だった。減額によりハード交付金で対応してきた道路整備や河川の改修、橋の老朽化対策などに遅れが生じている。この事態を受け、県は4月に部局横断で公共事業予算の確保を検討する「公共事業等推進調整会議」を開催し、ライフライン維持に充てられる国土強靱化予算に着目した。ハード事業の一括交付金で対応できるため、従来は対象外だった河川や橋、水道管などの修繕を国土強靱化事業で対応できないか交渉を始めた。

 県は国土強靱化予算の配分が少ないと踏んでおり、交渉の材料とするため沖縄と同じく特別措置を受ける北海道と比較した。県によると、21年度の県一般会計当初予算のうちの公共事業費は1078億円だが、追加配分された国土強靱化予算は当初予算比12・5%(135億円)の積み上げだった。

 一方、同年の北海道の一般会計当初予算に占める公共事業費は4756億円で、追加配分された国土強靱化予算は当初予算比30・5%(1454億円)の積み上げだった。追加配分された国土強靭化予算の割合をみても、沖縄が低いことが分かる。

 20年度も同様の傾向だった。沖縄に追加配分された国土強靱化予算は公共事業費の9・1%(98億円)だったが、北海道は同37・5%(2007億円)と倍以上だった。

 県関係者は「理由は明確ではないが、近年は国全体の公共事業費が大きく伸びる中、沖縄関係予算だけ伸びていない。ハード交付金は減額し続け、『選択と集中』の予算配分にも限度がある。ハード交付金の対象事業は、国土強靱化事業の趣旨にも合致するので、適用できるように要望する」と話した。 (梅田正覚)