県産ホップ 収穫成功 ビール商品化に期待 オリオン×琉球大


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ホップを収穫する琉球大の学生ら=16日、同大

 オリオンビールと琉球大はこのほど、ビールの苦みや香りの原料となるホップの栽培、収穫に県内で初めて成功した。栽培には冷涼な気候が向いていることから沖縄では難しいとされてきたが、3月に植えた5種類の苗が育ち、8月中に10~20キロほどを収穫できる見込みだ。今後は品質を分析し、試験醸造を経て“県産ホップ”を使ったビール商品化の可能性を探る。

 16日、琉球大農学部の一角にある農地で、同社の関係者や学生らが順調に育ったホップを摘み取った。切るとかんきつ系の果物のような香りがした。

 ホップはアサ科の多年草で「まり花」と呼ばれる部分に、香りや苦みの成分が含まれる。オリオンビールは現在、外国産を使っている。

 県産ホップが作れないか―。オリオン側が昨年、琉球大農学部の川満芳信教授(作物生理学)に打診し、共同で研究が始まった。町ぐるみで栽培に取り組む京都府与謝野町の生産者組合の協力を得て、昨夏はハウスで3種類を育て、数十グラムの収穫に成功した。

 今年は屋外の農地で、時期を早め3月から植え付けた。効率的に光合成ができるよう網を配置するなど、試行錯誤を重ねた。梅雨の影響はあったが台風も接近せず、ビールにして約500リットルを試作可能な量のホップを収穫できる見込みだ。

 今後はホップの安定収穫や生産拡大も課題になる。川満教授は「1年を通して栽培できないか挑戦したい」と話す。

 オリオンビールの樫原忠ビール商品開発部長は「商品化のレベルに到達できるかはこれから。県内クラフトビールメーカーにも使ってもらえる品質を目指したい」と見据えた。

 県産ホップのビール誕生なるか。今後の“ステップジャンプ”に期待が高まる。

 (當山幸都)