9月11日投開票の沖縄県知事選挙まで1カ月を切っている。現職の玉城デニー氏(62)、前宜野湾市長の佐喜真淳氏(58)、前衆院議員の下地幹郎氏(61)らが立候補を表明している。県内政党などの代表に知事選の意義や取り組みを聞いた。 (’22知事選取材班)
基地は経済阻害要因 社民党県連 照屋大河代表
―意義と争点は何か。
「今後4年間の沖縄の旗振り役を決める重要な選挙だ。辺野古新基地建設の問題が最大の争点となる。国家権力と県民世論が真っ向からぶつかり合う選挙だ」
―玉城県政の評価は。
「コロナ対策など危機管理や新たな沖縄振興計画策定など諸課題にしっかり対応しており、評価できる。辺野古基地問題や子どもの貧困などでも独自色を打ち出している。脇の甘さを指摘されることもあるがフットワークの軽さと親しみやすさは歴代随一。持ち味を発揮できるよう支えたい」
―沖縄振興の考えは。
「自立経済の確立に向けて逆算して政策立案していく必要がある。本土との経済格差や離島県の不利性は政治の責任で解消すべきだ。基地は県経済の最大の阻害要因だと捉えて取り組みを進めていきたい」
―基地問題の考えは。
「沖縄から基地をなくすことが真の解決策だ。長期的には片務的軍事同盟の日米安保体制から対等な『平和友好条約』への転換を目指し、中期的には既存の計画を見直し、辺野古新基地など県内移設を伴わない基地の整理縮小計画を日米両政府に策定させる。短期的には日米地位協定改定で米軍の活動を抑制していく」
―那覇軍港移設に関する立場の違いをどうするか。
「活用されてこなかった軍港は移設なく返還されるべきだ。ただ、選挙戦に向け『オール沖縄』体制では辺野古を中心とした政策を一致点として大切にし、各党・組織の考えを尊重し合える信頼関係を保ちたい」
―地方選との連携は。
「完全セットで、全党を挙げて取り組む。地方選の候補者支援を通じて知事選や首長選での票の掘り起こしに貢献したい。組織基盤の強化、党勢拡大も意識したい。地域をくまなく歩き回るどぶ板選挙に徹する」
自律経済を追求する 社大党 高良鉄美委員長
―意義と争点は。
「命と暮らしだ。復帰50年がたったが、基地問題で復帰前と今の状況は似ている。命と暮らしが争点となる中で、基地問題を中心に、経済やコロナが問われてくる」
―玉城県政の評価は。
「新型コロナウイルスは現在も続き、豚熱や首里城火災もあった。かなりの重圧がある中で、むしろ県職員を励まして一体となって取り組み、県民を激励した。それは玉城デニー氏にしかできなかっただろう」
「復帰50年目の知事であることを認識して取り組んだ。復帰50年の建議書を出し、次の世代につなげ、平和の意義をきちんと発信した。高く評価できる」
―沖縄振興の考え方は。
「自立経済を追求しつつ、自分たちで決めるという自律経済の構築にも、具体的に取り組まないといけない。沖縄は地方自治を生かす振興のモデルケースになれる。沖縄関係予算も額ありきではなく、全額を一括交付金にするというような形を目指すことが重要だと考える。十分それでやっていけると思うし、自律にもつながる」
―基地問題の考え方は。
「辺野古の問題は私たちの暮らしに大きな影響を与える。仮想敵国からすると敵基地攻撃論の対象になる。暮らしに関する予算を確保すべきだが、現状は逆だ。辺野古新基地建設に投入できる予算があるのならばコロナ対策や雇用、子育てなどに充ててほしいというのは当然だ。基地問題では未来予想図をどう描くかも大きなテーマとなる」
―選挙戦の取り組みは。
「玉城氏を全面的に支援する。政策論でもサポートしたい。統一地方選に出馬予定の公認・推薦候補者らにも県と協力関係を持つのがいかに重要かを改めて理解してもらった上で、セット戦術を強めたい」