病に倒れても…和牛畜産の発展へ情熱 リハビリに励み後継者育成目指す 宜野座村の平識さん


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
和牛畜産業を営む平識善通さん=宜野座村畜産センター

 【宜野座】宜野座村畜産センターを基盤に和牛畜産業を営む平識善通さん(65)=村松田区=が村の和牛畜産の発展へ意欲的だ。

 平識さんは2年前の9月、畜産センターで仕事中に突然倒れ、身体の自由を奪われた。診断結果は難病の「後縦靱帯骨化症」。本人は「さまざまなストレスにさらされていたことが原因」と推測し、今後のiPS細胞治療の進歩に期待を寄せる。

 幾度も絶望に打ちのめされたが、「今の自分にできることは何か」を考え抜いた。倒れる前はリーダーシップを発揮してビジネスを展開、やんばる和牛改良組合の組合長も2期務め行政に政策を訴えた。その行動力で再起に向けた自身の「ケアプラン」を実行。座位が保てる時間が限られ、いつでも畜産センターに行けるわけではないので、ベッド上で事業のかじを取る。

 世界的な情勢から、畜産業界は飼料や輸入草の高騰など苦しい状況を強いられているが、あらゆる状況に対応できる「足腰の強い持続可能な経営体系の構築」を目標とする。

 繁殖を終えた母牛を良質な肉質へと肥育するなど、和牛の持ち味を最大限に活用した「地産地消による地域活性化への貢献」を目指し、若い経営者が夢や希望を持って畜産業に携わるよう、行政や農協と連携した「力強い後継者の育成」に取り組んでいる。

 「生きていくために(動物の)命をいただいていることを子どもらに教えたい」とし、畜産センターへの見学も教育機関に提案したいという。リハビリに励む日々が今も続くが、迷いはない。
 (池辺賢児通信員)