復帰直後の沖縄〈50年前きょうの1面〉8月18日「復帰協、対米請求権闘争を展開」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。

 

 日本「復帰」した1972年8月18日の琉球新報1面トップは、「対米請求権闘争を展開/復帰協/政府に補償要求/強制収用、波状的抗議行動へ」との見出しで、県祖国復帰協議会が米施政下で起きた米軍や軍人・軍属による人的・物的損害など米側への補償を求める闘争を展開していく方針を確認したことを伝えている。記事では「請求権の対象として①土地の復元補償②財産及び人身損害の賠償等③軍用地の接収に伴う損害補償④27年に及ぶ県民の精神的損害に対する補償―など13項目の補償要求を準備している」と詳述している。

 復帰協では反戦地主会の方針も議論され「地域運動盛り上げ/強制収用通知は突き返す」との見出しで、強制収用が通知される中、あくまで契約反対を貫く姿勢を確認したことを伝えている。

 国会の衆院内閣委員会では沖縄の米軍用地の強制収用が取り上げられ、政府側答弁として「強制収用通知、今月中に終わる/政府答弁/弾薬移送で信号機設置」との内容を紹介している。

 政府の中国との国交正常化に向けた取り組みに呼応する形で「今秋、中国へ使節団/前田商工部長語る/積極的に貿易促進/県議会連合審」と、沖縄県政としても中国貿易を積極的に取り組む姿勢を示していることを伝えている。対中政策では「日中間に不可侵条約/政府首脳言明/中国が望むなら締結」と政府首脳が中国との間で相互不可侵の宣言をするのは望ましいと話している様子も紹介している。

 ベトナム戦争情勢では再び「米軍、史上最大の北爆」との記事も掲載している。

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 5月15日で復帰を迎えたが、沖縄を取り巻く状況は復帰して変わったこともあれば、変わっていないこともあった。琉球新報デジタルは、復帰を迎えた沖縄のその後の姿を琉球新報の紙面でどう記したか、引き続きお届けしていきます。