【記者解説】沖縄知事選・玉城氏 実績強調、再選狙う 新基地反対で差別化 政策発表


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記者会見し政策を発表する玉城デニー氏(中央)=17日、那覇市松尾

 県知事選に立候補を予定する玉城デニー氏は公約発表で、1期目の実績を強調した。その上で、争点となる名護市辺野古の新基地建設は反対の立場を堅持。「平和で誇りある豊かさ」の実現を前面に打ち出すことで他の立候補予定者との差別化を図り、再選を狙う。

 玉城氏は4年前の初当選時に掲げた公約291項目全てに着手し、うち287項目は予算化して取り組んでいるとして「実現率98.6%」と強調する。だが、県議会答弁では、その内訳は完了が8項目、推進中が279項目で「実現」の基準に疑問の声が上がる。

 玉城氏は公約の3本柱のうち、最初に「県経済と県民生活の再生」を掲げた。陣営内では基地問題を前に出す案もあったが、玉城氏本人の意向でコロナ禍で厳しい状況に追い込まれた県民生活の回復を重視し、経済対策を筆頭に持ってきた。

 米軍普天間飛行場の問題を巡っては、立候補を予定する佐喜真淳氏は辺野古移設を容認しており、違いが浮き彫りとなった。玉城氏はすでに埋め立てられた区域について、原状回復の可能性を残しつつ「(少なくとも)基地として使う考えはない」と語った。現行案を否定しつつ埋め立て済みの区域を活用しオスプレイ移駐を掲げ、立候補を予定する下地幹郎氏との差別化も図った。

 2019年の県民投票では投票者の7割が反対の意思を示しており、知事選でも辺野古新基地反対の立場で支持を集めたい考えだ。

 一方、玉城氏が容認する米軍那覇港湾施設(軍港)の浦添市移設については、陣営内や支持層に反対も根強く、政策集では触れなかった。
 (明真南斗)