【公開討論会詳報④】旧統一教会問題、公約達成率、普天間跡利用…クロス討論で鋭く追及 沖縄知事選


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立候補予定者の活発な議論に耳を傾ける来場者たち=17日、那覇市泉崎の琉球新報ホール

 25日告示、9月11日投開票の県知事選を前に、琉球新報社、沖縄テレビ放送、ラジオ沖縄の主催による「県知事選立候補予定者公開討論会」が17日に那覇市の琉球新報ホールで開かれ、現職の玉城デニー氏(62)、前宜野湾市長の佐喜真淳氏(58)、前衆院議員の下地幹郎氏(61)が論戦を繰り広げた。米軍普天間飛行場の返還・移設問題を巡って3氏の解決策の違いが明確となり、子ども支援や経済浮揚策などで独自色と政策実現の実行力などを競った。討論会の議論を紹介する。
 (文中敬称略)

 


 佐喜真氏から―公約達成率は1.7%では
玉城氏 実現した率98.6%

 下地氏から―辺野古 戦略なく反対か
玉城氏 国が地方自治ゆがめ

 

 佐喜真 公約実現率99%と主張するが、達成率は1.7%だ。

 玉城 291の公約のうち287項目は予算化して推進した。やったかやらなかったかに言い換えたら、やった。率に置き換えて実現率98.6%と言っている。1.7%というのは私が言ったことではない。どの事業が完成し、取り組み、どの事業が行われていないかを部局が出した数字だ。約束の実現は、98.6%を実施したということが正確な数字だ。

 佐喜真 達成率と実現率の違いを明確に。

 玉城 公約を達成率で表すのは難しい。公約を実現し、取り組んでいると説明した方が、県民に分かりやすく、公約を実現した率として98.6%と説明している。結果を出したか出してないかで見ていただければ、ご理解いただける。

 下地 辺野古の埋め立てをされても、全く責任を果たさない。

 玉城 土砂の投入率は3年余りで10%弱だ。もう終わったと判断するのではなく、まだ止めることを国、世界に主張しなければならない。軟弱地盤は、難解な工事で、予算がいくらかかるか分からない。絶対にできない。事実を日米政府に認めさせ、普天間の機能をどこに移すのかという議論を先に進めることの方が、現実的な基地負担の軽減につながる。

 下地 戦略なく、反対はいかがなものか。

 玉城 軟弱地盤は公有水面埋立法で認めらない、不承認と明確に言っている。止めるための手だてを講じているにもかかわらず、計画を無理やり押し通すような国のやり方が地方自治のあり方までゆがめていると司法で訴えている。


 玉城氏から―県のコロナ対策の評価は
佐喜真氏 県民の暮らし守れず

 下地氏から―参院選で旧統一教会から支援は
佐喜真氏 金銭の受け取りない

 玉城 新型コロナ対策で、県の取り組みをどう評価するのか。

 佐喜真 ワクチン接種率は全国一少なく、感染率は全国一高い。県民の命と暮らしを守っていない。抗原.PCR検査を沖縄に来る前に行い、陽性者を入れない仕組みをつくる。ワクチン接種は知事がリーダーシップをとり、市町村と連携強化するべきだ。知事は専門家会議も20回の中で2回程度しか出席していない。県民.医療業界から不満も出ると思う。

 玉城 専門家会議に出席する方式に変えた。

 佐喜真 島しょ県なので空港の水際対策で予防ができる。米軍関係と定期的な話し合いで、水際対策をする。県民の命と、健康を守る強い姿勢がない限り、結果は伴わない。私が知事になれば、権限と責任で県民の命と健康を守る。

 下地 参議院選挙で本当に統一教会から支援を受けてないのか。

 佐喜真 旧統一教会の報道に関し、誤解を招いたことをおわびしたい。会員ではなく金銭の受け取りはなかった。台湾訪問は地方の行政視察など私的な旅行で領収書は持ち合わせてない。参院選は分からないが、私のお手ふりはいろいろな方々が参加し、その中に会員の方もいたかもしれない。だが、私はそういう方々(団体)とお手ふりはやっていない。

 下地 台湾訪問の収支報告がなぜないのか。

 佐喜真 私的に行った台湾だ。領収書は私自身がまだ確認をしておらず、台湾(訪問)の領収書なのかどうかも含めて私も確認をさせていただきたい。台湾の旅費は私自身のお金で行ったということで、ご理解をいただきたい。


 玉城氏から―普天間 跡地利用進めるべきでは
下地氏 キンザーと一体開発

 佐喜真氏から―市民 普天間返還望んでいる
下地氏 国際空港として利用

 玉城 普天間の軍民共用化を訴えるが跡地利用を進めるべきでは。

 下地 キャンプ.キンザー、那覇軍港、普天間が、美浜や新都心と同じような公園、住居計画だと沖縄全体の土地の暴落が始まる。普天間は2800メートルの滑走路があり、軍用機がいなくなった後に国際空港として活用する。抑止力を維持しつつ、岩国と同じような50万人の観光客が来ても、年間440億円の経済効果だ。バランスを考え、この結論になった。

 玉城 空港の利便性は担保されるのか。

 下地 普天間飛行場とキンザーを一体開発する。片方5車線のトンネルで結び交通渋滞を解消し、鉄軌道を進める。鉄軌道と一体開発のトンネルをつくれば、渋滞は一切なくなる。国際空港の実現と、渋滞緩和を一緒に実行したい。

 佐喜真 軍民共用で、自衛隊、米軍の利用もあるのか。

 下地 港と空港が一緒になった新しいプランを作る。キンザーは都市計画で日本でも有数の地域になる。普天間は国際空港をつくり、2千万人観光客に貢献できる飛行場にする。プランを問題ごとにつくって示すことが大事だ。軍用機が飛ばない以上、伊丹空港などと全く同じで、危険性のない空港になる。危険があるという風なことを言うが、そうではない。

 佐喜真 市民県民は普天間返還を望んでいる。

 下地 普天間飛行場で外来機訓練があり、夜中もオスプレイが飛ぶ。その状況を改善してくれというのが人々の思いだ。経済的なメリットを考え、国際空港として使った方がいいと提案する。期待を裏切ってるものではない。