復帰直後の沖縄〈50年前きょうの1面〉8月20日「革新市町村長会、自衛隊募集事務を拒否」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。

 

 日本「復帰」した1972年8月20日の琉球新報1面トップは、「革新市町村長会、自衛隊募集事務を拒否/「収容通知」も返送/知事の態度決定焦点に/基地周辺整備費は要求」との見出しを掲げている。会議には14市町村の首長が出席し、記事では「県民の悲惨な戦争体験や、反戦・平和の立場から自衛隊を容認するわけにはいかない。また自衛隊は軍隊であって明らかに憲法違反であり許せない―との意見が強く出され、募集事務について一切拒否することを申し合わせた」と会議の議論の様子を伝えている。

 そでには関連で「隊員仮合格者/身元照会断わる/平良那覇市長が書類返送」と、那覇市長が自衛隊への協力はできないとの姿勢で書類を送り返したことを紹介している。記事では「那覇防衛施設局総務部は、8月12日付けで、那覇市に本籍を持つ6人自衛隊仮合格者の身元調査を那覇市長あてに依頼した。(中略)これに対し平良那覇市長は『依頼の文書だから回答する義務はない。自衛隊募集には反対なので、協力するわけにはいかない』として、依頼文書を返送した」と記している。

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 5月15日で復帰を迎えたが、沖縄を取り巻く状況は復帰して変わったこともあれば、変わっていないこともあった。琉球新報デジタルは、復帰を迎えた沖縄のその後の姿を琉球新報の紙面でどう記したか、引き続きお届けしていきます。