係争委、県申し出退ける 辺野古 国是正指示「違法でない」


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            辺野古

 【東京】米軍普天間飛行場移設に伴う沖縄県名護市辺野古の新基地建設を巡り、総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」(菊池洋一委員長)は19日、会合を開き、県の審査申し出を退けると決めた。沖縄防衛局による設計変更申請を不承認とした県の処分を取り消し、承認するよう求めた斉藤鉄夫国土交通相の是正指示を「違法ではない」と判断した。

 係争委は、国交相の是正指示は無効だとする県の三つの主張をいずれも認めず、「(是正指示は)適法になされて有効であり、県の主張は採用できない」と結論付けた。

 県は昨年11月、軟弱地盤の問題を受けて沖縄防衛局が提出していた設計変更申請を不承認としていた。この処分に対して防衛局が行った行政不服審査申し立てを受け、斉藤国交相が4月に不承認処分を無効とする裁決を下した。その上で、設計変更申請を承認するよう県に求める是正指示を出していた。

 これに対し、県は(1)不承認処分は失効していない(2)不承認処分は適法(3)是正指示は地方自治法の「関与権限」の乱用で違法―と主張していた。

 係争委の菊池委員長は「(国交相の)裁決は効力を生じている」とし、県知事を「法的に拘束」していると判断。また「裁決の趣旨に従って、県知事は改めて承認申請処分をする義務を負う」とも指摘した。「承認しなかったのは違法、不当で裁量権の範囲の逸脱、乱用にあたる」と述べ、公有水面埋立法の規定に反するともした。

 国交相の是正指示も地方自治法の要件を満たしており、「国の関与権限の乱用とする県の主張は採用できない」として退けた。

 審査結果は郵送され、県に到達次第、効力を生じる。県が不服の場合、到達から30日以内に裁判所へ訴えを提起できる。
 (斎藤学、安里洋輔)