復帰直後の沖縄〈50年前きょうの1面〉8月21日「県振興開発審、県庁移転を本格審議/候補地は中部」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。

 

 日本「復帰」した1972年8月21日の琉球新報1面トップは、「県庁移転を本格審議/振興開発新議会/〝都市〟の分散化図る/候補地は中部/軍用地が障害に」との見出しを掲載している。記事では「那覇市に見る過密のへい害をなくし、総合的な市街の再開発をねらいとしたもので、琉球政府時代の政府庁舎移転から始まり、行政府機構の管理中枢機能の分散化はこれまでにもたびたび取りざたされてきた課題だが、県の公式な場で取り上げられたのはこれが初めて」「しかし狭い島内で市街地再開発を進める余地は軍用地に求めるほかはなく、同計画でも軍用地の返還が不可欠な要件となっている」と記している。

 国会の動きとして「調査団、次々訪沖へ/国会各委員会、復帰後の実態など調査」との見出しを掲載し、衆院の商工委と沖縄特別委、参院が沖縄特別委の派遣が決まっており、他の委員会も派遣準備を進めていると記事で紹介している。調査の狙いとして「とくに①防衛施設庁が、さる12日から行っている公用地法適用による軍用地の強制使用の実態②沖縄海洋博の準備状況③物価と県民生活④今後の振興開発―など。このなかでも野党各派は、公用地法の運用の仕方に注目、10月に予定されている臨時国会で政府をきびしく追及していく構えだ」と記している。

 このほか国政につながる記事として「椎名副総裁、三木副総理実現へ/田中政権、〝挙党体制〟敷く」や「訪中前に先遣隊/田中、大平会談で決める」、「政府、国府説得に苦慮/『日中』今週大きなヤマ場へ」の見出しで、日中国交正常化に向けた動きや田中角栄政権の動向を伝えている。

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 5月15日で復帰を迎えたが、沖縄を取り巻く状況は復帰して変わったこともあれば、変わっていないこともあった。琉球新報デジタルは、復帰を迎えた沖縄のその後の姿を琉球新報の紙面でどう記したか、引き続きお届けしていきます。