復帰直後の沖縄〈50年前きょうの1面〉8月22日「沖縄電力、米軍38%値上げ」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。

 

 日本「復帰」した1972年8月22日の琉球新報1面トップは、「強制収用、2次通知、当分見合わす/募集業務も手控え/防衛庁・施設庁、地元反発で慎重に/『地主と十分話し合う』」との見出しで、地元の反発を受けた形で2回目の軍用地の強制収用通知を「とりあえず」当分行わない方針を紹介している。土地収用通知の延期には、革新市町村長会が自衛隊の隊員募集委託業務を拒否していることも背景にあり、そでの関連記事では「『身元照会』断われば執行命令も/自衛隊募集」との防衛庁の方針も伝えている。

 復帰に伴う措置に関連して、沖縄電力の通産相への電力料金改定について報じており「米軍38%値上げ/来月実施/電力卸し料金改定認可」との見出しを掲げている。記事では「大口需要家の米軍が38%、産業用需要(琉球セメント、拓南製鉄、共栄製鋼、石油3社、県企業局など7社)が平均14-15%値上がりするが、これにより沖縄電力の収支バランスは保てる。米軍などには十分理由を説明し、ほぼ了解は得てあるが、制度上の問題などでまだ詰まってないので、実施までに理解を得たい」と記している。

 基地従業員の解雇問題をめぐって県が米側と交渉したとの記事では「全軍労問題で要請/対米交渉機関の設置も/知事・米総領事会談」との見出しを掲げている。要請では米軍の水道使用の問題についても触れている。米軍が水道利用で水道公社と契約したが、屋良朝苗知事が日本の水道法に基づき市町村と給水契約を結ぶよう求めたのに対し、ペトリ米総領事は「沖縄の市町村は水の生産者ではない。例えば嘉手納基地では5市町村にもまたがっている。各市町村では修理などサービスができるだろうか」との見解を示したという。

 このほか、海洋博などに向けた視察で来県していた沖縄開発庁の中津井真政務次官の会見内容を紹介し「塩屋湾に河口ダムを/中津井政務次官が表明」との見出しを掲げている。

 

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 5月15日で復帰を迎えたが、沖縄を取り巻く状況は復帰して変わったこともあれば、変わっていないこともあった。琉球新報デジタルは、復帰を迎えた沖縄のその後の姿を琉球新報の紙面でどう記したか、引き続きお届けしていきます。