黒糖在庫75%解消 SNS活用、コンビニ連携奏功 黒工会と沖縄県


社会
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黒糖関連商品を照屋義実副知事(左から2人目)に贈呈する県黒砂糖工業会の西村憲会長(同3人目)=19日、県庁

 県内八つの離島にある製糖工場が抱える黒糖の在庫が、6月末時点で1408トンとなり、昨年11月末時点の5572トンから約75%解消したことが19日、県黒砂糖工業会(黒工会、西村憲会長)のまとめで分かった。SNSを活用した広報やコンビニエンスストアとタイアップした企画展開など黒工会による独自の取り組みに加え、県の沖縄黒糖ブランディング実証支援事業を活用したPR活動などが奏功した。

県産黒糖や黒糖を使った商品の種類は多岐にわたる

 黒糖を巡っては、原料となるサトウキビの収穫面積が近年1千ヘクタールを超え、黒糖の生産量も2016年度以降は9千トン台で推移するなど増産傾向が続く。21年度産も8191トンと、生産はおおむね好調だった。

 一方で、国内の黒糖の年間需要は約7500トンと生産量を下回っているのが現状だ。安価な輸入糖や加工糖との競争に加え、20年以降は新型コロナウイルス感染拡大の影響で販促活動も停滞したため、21年5月末には計1万6千トン(製糖工場8600トン、卸業者7400トン)と、過去最多の在庫を抱える事態に陥った。

 少しでも状況を打破しようと、黒工会は大手コンビニなどとタイアップして沖縄フェアを実施したり、メーカーなどに原材料を提供し商品開発につなげたりするなど新たな需要開拓を強化した。SNSを活用した多角的な情報発信も始めた。

 国や県による支援事業も活発化している。県は21年度2月議会で補正予算を確保し、沖縄黒糖ブランディング実証支援事業を新たに立ち上げた。県出身女優の黒島結菜さんなど影響力のある著名人を黒糖アンバサダーに任命し魅力をPRするほか、県内外でイベントを開催して県産黒糖のブランド力向上を推進している。

 19日、県庁で照屋義実副知事と面談し、黒糖を使った多彩な商品を贈呈した西村会長は、黒糖を巡る環境は依然として厳しく、継続的かつ効果的なマーケティング戦略が必要だと強調した。高付加価値化商品の開発や黒糖そのもののブランディング、新たな販路の確保が消費拡大の鍵になるとして、「引き続き連携して沖縄黒糖の発信に取り組んでほしい」と協力を求めた。 (当銘千絵)