【深掘り】翁長前知事の息子と側近による対決の可能性…那覇市長選、城間市長の判断は?同日の県議補選の人選も


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オール沖縄の擁立決定について「現時点でコメントできない」と述べる翁長雄治氏=21日、那覇市内

 10月23日投開票の那覇市長選で、「オール沖縄」勢力が翁長雄治県議の擁立を決めた。一方、自民党は知念覚副市長を擁立する見通し。故翁長雄志前知事(前市長)の息子である雄治氏と、雄志氏の側近だった知念氏。この2氏による異例の選挙戦となる可能性が高まった。両陣営は城間幹子市長がどちらを応援するかも注視する。

 「雄志さんがどう考えるかなと思うと、複雑な思いはある」。21日夕、玉城デニー氏の那覇支部総決起大会に参加していた城間氏は、雄治氏と知念氏による選挙戦が濃厚になったことの受け止めを報道陣に問われ、顔を曇らせた。

 どの候補を応援するかについて「自分の中でぶれがある」と知事選後に判断する考えを示し、知念氏を応援する可能性も「ある」とした。辺野古新基地建設問題については「争点にならないのではないか」と述べた。

 あるオール沖縄関係者は「城間氏は雄志氏の後継として市長になった。不義理はしないのでは」と雄治氏の応援を期待する。一方、知念氏擁立を目指す関係者も「城間氏に応援のマイクを持たせたい」と思い描く。

 雄治氏は市長選出馬に伴い県議を辞職し、那覇市・南部離島区の欠員1議席を争う県議補選が9月11日投開票の知事選と同日に実施される見通しだ。定数48の県議会は現在、玉城県政を支えるオール沖縄の与党議員が24人で、野党・中立議員と拮抗(きっこう)している。オール沖縄にとって県議会の議席を維持することも不可欠だ。

 補選の人選について、与党県議の1人は「雄治氏が後継を決めるのが筋だ」と説明。政治団体「新しい風・にぬふぁぶし」を事実上率いる雄治氏の意向を最優先に選考が進むとみられる。

 県政野党の自民にとっては県議会の構成を逆転させる絶好の機会が舞い込んだ。自民関係者は「意欲があるのは複数いる」と話し、擁立への人選を急ぐ考えを示した。
 (伊佐尚記、當山幸都)