苦みとともに 照屋大哲(南部報道グループ)


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

written by 照屋大哲(南部報道部)

 元豊見城市議会議長の大城英和(ひでかず)さんが7月19日に亡くなった。76歳。実感が湧かない。電話したらすぐに会えそうな気がする。

 車やつえには日の丸のステッカー。携帯の着信音は君が代。自他共に認める「保守」だった。電話で話したり、いつもの店のテラス席でコーヒーを飲んだりした。豊見城市政や沖縄県政、最後は国政についても語ってくれた。

 リベラルな議員よりも、自身と立場が同じ保守政治家に対する批判が大半を占めていた。熱を帯びてくると、柔和な表情が見る見る鋭い視線に変わり、しまくとぅば交じりの語り口に。たばこの煙をくゆらせながら、「誰のための政治か」「保身ばかり」と舌鋒(ぜっぽう)鋭くまくしたてた。そんな保守政治家に対して時に生意気にもの申す私の意見を、否定せず、目尻を下げてうなずきながら聞いていた。意見や立場の違いを超えて、対話する姿勢。まねしようとしても簡単ではない。

 毎回の電話越しでの第一声は「おおー、照屋記者」。あの声が忘れられない。「参院選が終わったらまた話しましょう」。7月1日の電話での会話が最後となった。

 コーヒーが苦手だった私だが、今ではほぼ毎日飲むようになった。苦みと共に英和さんを思い出す。英和さん、グソーから今の沖縄、日本の政治をどう見ていますか。

(豊見城市、八重瀬町、久米島町、南大東村、北大東村担当)


ゆんたくあっちゃー 県内各地を駆け回る地方記者。取材を通して日々感じることや裏話などを紹介する。