【記者解説】新たな沖縄振興計画、厳しい船出 23年度沖縄関係予算概算要求大幅減


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
概算要求に向けた要請書を西銘恒三郎沖縄担当相(当時・右から3人目)に手渡す玉城デニー知事(同4人目)ら=8月2日、東京

 内閣府が示した2023年度沖縄関係予算の概算要求案は2798億円で、22年度概算要求から200億円の大幅減となった。年末の本予算での増額は見込みにくく、2年連続の3千億円台割れが確実視される。22年度当初予算は、概算要求額の2998億円から314億円減の2684億円で決着しており、23年度当初予算はさらなる落ち込みも予想される。

 22年度当初予算は「沖縄振興一括交付金」が1千億円台を大きく割り込み、762億円となった。22年度の概算要求では、21年度本予算981億円を据え置き、本予算でさらに減額された。23年度概算要求も22年度本予算額を据え置いており、本予算でのさらなる減額が予想される。

 県は一括交付金が狙い撃ちされる構図が続いていることに危機感を抱き、増額を求める要請を繰り返している。

 だが、自民党沖縄振興調査会の宮崎政久事務局長は一括交付金で減額が続く背景について、特定事業の「予算執行率と成果が問題視されている」と指摘する。県には政府の圧力を押し返すための理論武装が求められる。

 一方、政府は県出身の西銘恒三郎前沖縄担当相が掲げた「強い沖縄経済」を実現するための「ビジョン」を踏襲するとも強調した。県知事選で対抗する玉城デニー県知事をけん制しつつ、新たな沖縄振興に取り組む姿勢をアピールしたい政府側の思惑も透ける。

 県内最大の政治決戦での綱引きも絡み、沖縄の日本復帰50年の節目を終えて始動する第6次沖縄振興計画は、厳しい船出となりそうだ。

(安里洋輔)