徳島や香川、愛媛、高知の四国4県と和歌山県で開催された全国高校総合体育大会(夏季)「躍動の青い力 四国総体2022」は23日、水球競技決勝が行われ、全ての日程が終了して閉幕した。沖縄県勢は25競技27種目に出場。新型コロナウイルスの感染防止対策を講じて3年ぶりに有観客で実施された。依然として感染症対策などにより難しいコンディション調整が求められる中、選手たちは白熱した試合を展開し、感動を与えた。沖縄を代表して出場した選手やチームは陸上や重量挙げ、なぎなたの種目で全国一に輝くなど躍動。今大会の県勢の活躍を振り返る。
■貫禄の3連覇
女王らしい戦いぶりだった。円盤投げ決勝で、全国インターハイ(代替大会含む)2連覇中の友利晟弓(那覇西3年)がしっかりと絶頂期を競技当日に合わせ、自己ベストを更新する46メートル46で優勝を飾った。
昨年12月に手術を伴うけがに見舞われ、本格的な練習を再開したのは今年4月から。直前の南九州大会まで本調子とはいかず記録自体も伸び悩んでいたが、強い精神力と高めてきた技術力で持てる力を最大限に発揮した。重圧が掛かる中で制覇してきた実力そのままに、ここ一番の大舞台で輝きを放った。
過去にも好記録を残してきた投てき種目では、友利に続き女子円盤投げで外間結希乃(与勝3年)が4位、男子円盤投げでは照屋瑠亜(那覇西3年)が7位入賞を果たした。陸上では他に女子5000メートル競歩で淺野愛菜(コザ3年)が8位に入賞した。女子三段跳びでは喜久里彩吹(那覇国際1年)が7位に入った。喜久里は走り幅跳び、100メートル障害でも代表に選ばれた。今後の活躍が期待される。
■“お家芸”健在
沖縄のお家芸として、これまでも県勢が全国高校総体を彩ってきた重量挙げとなぎなたでチーム・選手が全国一に上り詰めた。
重量挙げは、女子59キロ級の比嘉成(本部2年)が日本高校記録保持者らしい試合運びで追随を許さず。得意のスナッチで自らの記録を塗り替える日高新の90キロを成功させた。ジャークは95キロ、トータルで大会新の185キロを記録し堂々の試技で金メダルを獲得した。
男子89キロは造倉翼(糸満3年)がスナッチ113キロ、ジャークで自己新の147キロを挙げトータル260キロで優勝を飾った。各階級で上位入賞する層の厚さを見せつけ、学校対抗でも女子本部が6位に入った。
なぎなたは団体で首里(城間こころ、泉水ほのか、平安名はな、富川亜紀、具志堅茉緒、大木ろまん、栄野川美羽)が3年ぶりの栄冠をつかみ取った。昨年準々決勝で敗れ5位に終わった悔しさを糧に、県勢では8度目の優勝を飾った。2年生を中心としたチームで昨年の北信越を経験した主将の泉水ほのからに加え、中学で全国経験もある1年生を新戦力に躍進した。
首里は演技、個人でも出場。演技は大木ろまん・栄野川美羽が3位、個人では泉水が5位入賞を果たした。今後は1年生の成長でよりチーム内競争が激しくなる。来年の全国インハイでは3種目制覇が現実味を帯びそうだ。
■チーム力発揮
今大会は団体種目の飛躍が目立った。テニスの女子団体で沖縄尚学(水口由貴、堀江菜実、友寄愛加理、新城英万、清水真央)がチームワークで接戦を勝ち続け、同校として6年ぶりに決勝に進み、準優勝に輝いた。
カヌー競技では男子カナディアンペアで沖縄水産(山城翔、山城瑞希)が500メートル種目で4位、200メートル種目で5位入賞。山城翔は個人でもカナディアンシングル500メートルで3位と躍動するなど競技力の高さを示した。
水球は那覇商が県勢としては那覇西以来3年ぶりに8強入り。負けが続いていた宿敵の鹿児島南と2回戦でぶつかったが、底上げしてきた総合力で接戦を制して準々決勝に駒を進めた。
アーチェリー女子団体では宜野湾が予選通過で決勝トーナメントに進み16強入り。弓道男子団体で興南が16強入りした。バレーボール男子は西原が3年ぶりに決勝トーナメントに進み1回戦を突破。2回戦は今大会優勝の鎮西に敗れたが、強豪相手に勝負できた。
来年は舞台を北海道に移して開催される予定だ。王国と称されるハンドボールや今回上位入賞があった自転車トラック、レスリング、ボクシングなど個人種目でもさらなる成長を期待したい。
(四国総体取材班=謝花史哲、大城三太、金良孝矢、稲福政俊、小川昌宏、ジャン松元)