女性の事業承継、議論 那覇でトーク、経営者ら体験報告


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
女性後継者について意見を交わす登壇者ら=24日、那覇市のロワジールホテル那覇(喜瀨守昭撮影)

 女性による事業承継をテーマにしたトークセッション「女性後継者の挑戦~地域のくらしを支え文化をつむぐ」(沖縄総合事務局など主催)が24日、ロワジールホテル那覇で開かれた。親族内承継をした女性経営者らが登壇し、課題を報告し合いながら早期の取り組みや支援機関を活用する重要性などを確認した。

 壺屋焼窯元「育陶園」社長の高江洲若菜氏は経営に参画する中で、長男の弟と経営を巡りけんかをした過去を話した。「弟と話し合って私が経営、弟はものづくりで役割分担できた。それから父も頭を切り換え、私が引き継ぐことになった」と振り返った。税理士の助言を得ながら財務を改善させた経緯も触れ、専門家の支援の必要性も指摘した。

 沖縄第一ホテルで女将(おかみ)を務める渡辺克江氏は、母親の体調不良をきっかけに事業を引き継いだ。「幼少時から接客をしてきた経験があり、円滑に継ぐことができた」と振り返る。「承継する上でさまざまな経験をした方がいいと思う。私はテレビ局で仕事をしていたおかげで、お客様とのコミュニケーションがうまく取れるようになった」と、経験を積む大切さを指摘した。

 喜納農場代表の喜納忍氏は、畜産業という男性が多い業種ゆえに女性が受け入れられづらい環境を説明する。次代の女性後継者に向け「家族のためではなく、楽しんで沖縄を盛り上げる気持ちで頑張っていけたらいいと思う」と持論を語った。豚熱で3千頭以上を殺処分したことにも触れ、「希望を持ちながら沖縄の養豚業を盛り上げていきたい」と前を向いた。

 沖縄国際大経済学部の島袋伊津子教授は「自営業者は地域のつながりを強める役割があるものの、衰退の一途をたどっている」と指摘。地域のつながりを維持するためにも家業を廃業させずに事業承継する重要性を訴えた。
 (小波津智也)