【深掘り】那覇市長選、構図固まる 知事選とのセット戦術へ 人選めぐり両陣営には不満も


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那覇市役所

 10月23日投開票の那覇市長選挙に向け、市政野党の自民党が24日、知念覚副市長(58)の擁立を決めた。知念氏は、自民が県知事選で擁立する佐喜真淳氏を応援する姿勢を明確にしたことで「出馬の条件をクリアした」(自民関係者)形だ。一方、「オール沖縄」勢力が擁立した翁長雄治氏(35)は同日、出馬を表明した。県知事選告示前夜に、両陣営はようやく知事選と市長選のセット戦術をとる環境が整ったが、それぞれ不安材料も抱える。

 「知念氏の『佐喜真氏を強力に支援したい』との発言を選考委員会の場で確認した」。知念氏擁立を発表した選考委員長の国場幸之助衆院議員は、報道陣にこう強調した。

自民の「宿題」

 知事選で城間幹子那覇市長が玉城デニー氏の選挙母体会長を務める中、知念氏が表だって佐喜真氏を応援するのはハードルが高いとの見方があった。だが選考委員会の一部には知事選での対応をあいまいにする知念氏の姿勢に不満もくすぶっており、佐喜真氏支援の明言を求める意見もあったという。ある自民県連関係者は知念氏が佐喜真氏支援を表明したことに「宿題の答えを持ってきたということだろう。これで選考委は納得できる」と胸をなで下ろす。

 会見で国場氏は副市長在任中の8月中は知念氏にセット戦術を求めない姿勢をにじませた。知念氏側の事情をくんで、落としどころを見つけた格好だ。知念氏を推してきたある関係者は「9月に入れば佐喜真氏と共に立つ大きな場は打ち上げ式ぐらいだろう」とみる。

 一方、別の選考委員は「自民支持の団体・企業から『副市長を擁立しても市政刷新にならない』とクレームがきている」と明かす。「選考委が全会一致で決めたと言っても、実際の選挙運動で動かない人も出てくるのではないか」

補選人選に反感

 一方、オール沖縄内でも那覇市長選や県議補選の人選を巡り、不満がくすぶる。県議補選で翁長氏から後継指名された上原快佐氏について、与党市議の1人は「当事者同士の利害関係だけで候補者が決まった印象を受ける。もう少し丁寧に選ぶべきだった」と語る。

 上原氏を巡っては、2020年に城間市長が提出した副市長人事案に反発して当時最大会派だった「ニライ」を離脱したことや、21年にニライを抜けた市議が上原氏と別の会派を結成したことに対する反感が今なお残っているという。

 市政与党内のわだかまりに対して、オール沖縄内から知事選への影響を懸念する声も上がる。与党県議の一人は「ただでさえ、知念覚氏が自民側から擁立されたことの影響が避けられない中、県議補選でも不満がくすぶると体制に影響が出る。大所高所から知事選に向かうべきだ」と語った。
 (伊佐尚記、大嶺雅俊、吉田健一)