【記者解説】「子育て世代の代表」で独自色打ち出す 翁長氏出馬表明 那覇市長選


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那覇市長選への出馬を表明する翁長雄治氏=24日午後、那覇市の県教職員共済会館八汐荘(ジャン松元撮影)

 「オール沖縄」勢力が擁立した翁長雄治氏(35)は選挙戦で最も訴えたい「一丁目一番地」に子ども政策を挙げた。辺野古新基地建設反対だけでなく「子育て世代の代表」として独自色を打ち出し、幅広い層にアピールしたい考えだ。一方、経験不足や世襲批判も予想される。政策や行動力などを示し、弱みを補っていけるかが支持拡大の鍵となりそうだ。

 翁長氏は「政治の世界に飛び込んで一貫して子どもを取り巻く環境の対策をしてきた」と強調。若すぎるという批判に対しては「フットワークが軽く、決断力もある。若い人の目線を行政に反映させる」と語った。

 自民側が争点化を避ける辺野古新基地建設について「争点の一つ」と位置付けたのも特徴だ。「那覇市に関係のない話ではない。那覇市内でも普天間飛行場のヘリなどによる騒音があり、(基地から派生する)事件事故もある」とした。

 自民党が擁立を決めた知念覚副市長は、翁長氏の父・雄志氏の那覇市長時代の側近だった。知念氏は辺野古移設反対を明言しないが、普天間飛行場の県内移設断念などを求めた建白書の精神には賛同し「自分の方が雄志氏の遺志を継いでいる」と自負しているという。

 翁長氏は「建白書の精神を持ちながら、建白書から離れた(自民の)方と一緒にやることには違和感がある」と知念氏の姿勢に疑問を呈する。

 今後、雄志氏の「遺志」を巡っても、両陣営の論戦が熱を帯びそうだ。
 (伊佐尚記)