【記者解説】県内最大の政治決戦 争点は明確化、3氏の論戦期待 沖縄知事選


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名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ沿岸部

 第14回県知事選が25日告示され、17日間の選挙戦の火ぶたが切られた。1972年の日本復帰から50年を迎える節目の知事選は、下地幹郎氏、佐喜真淳氏、玉城デニー氏による争いとなる。県内最大の政治決戦で、各候補者は今後の沖縄像をどう示すのか。いずれも豊富な政治経験を持つ3氏の論戦が期待される。

 今回の知事選では、玉城県政の評価のほか、名護市辺野古の新基地建設計画の是非や新型コロナウイルス禍を受けた県経済の回復策などが大きな争点となる。

 新基地建設計画については、下地氏は現在埋め立てられた場所は活用して軟弱地盤のある大浦湾側の工事は阻止を掲げ、佐喜真氏は容認、玉城氏は新基地建設自体に反対と三者三様の立場を示し、争点として明確化された。そのため選挙の結果は新基地建設計画に対する県民民意の「現在地」を示すことになる。

 来年度の沖縄関係予算が減額される見込みの中、県と政府との関係性の在り方も問われる。

 前回知事選から県内政局は大きく変化した。現職の玉城氏を支える「オール沖縄」からは保守・経済界の離脱が相次ぎ、国政・首長選で厳しい結果が続いた。

 佐喜真氏を擁立して県政奪還を狙う自公も7月の参院選でオール沖縄勢に敗北を喫して勢いにブレーキが掛かった。

 保守系の下地氏がオール沖縄、政権与党から距離を置く「第三極」の立場で出馬したことで情勢はさらに混とんとする。

 選挙結果は今後の沖縄の政治枠組みにも影響を与えそうだ。
 (大嶺雅俊)