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エネルギー変革、自給率改善が喫緊の課題 宮城康智・エネルギーラボ沖縄代表<明日からできる わたしの一歩>


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宮城康智・エネルギーラボ沖縄代表

 沖縄県におけるエネルギー変革は待ったなしになっている。

 その理由の一つは、エネルギー産業が排出する二酸化炭素によって引き起こされる気候変動である。気候変動による海面上昇が起こると、ある研究によれば今後海面が0.3メートル上昇することで沖縄県の砂浜の約97%が消滅するという予測もある。二酸化炭素排出を止める脱炭素は自然の恩恵を受ける沖縄だからこそ、真剣に向き合わなければならない。

 もう一つの理由はエネルギー自給率である。脱炭素が世界で進むことで、逆説的ではあるが、沖縄に負の影響があることも考えられる。脱炭素が進むと化石燃料の需要が減少し、化石燃料の価格が上昇することが予想される。そうなると、沖縄県はそのエネルギーのほとんどを輸入の化石燃料に依存しているため、エネルギー価格の上昇は避けられない。そのため、現在約2.7%となっているエネルギー自給率の改善は喫緊の課題でもある。

 沖縄における二酸化炭素排出量の約4分の3は電力やガソリン消費というエネルギー領域からの排出となっている。そのような沖縄では、脱炭素を進めつつエネルギー自給率を上げるためのエネルギー変革は、待ったなしの状況である。

 では私たちには何ができるのだろう。まずは県民全員が自分の足元を見直すことができる。私たちが買っている製品はどのように作られているのか、もし海外からの輸入製品であれば地元の製品と比べ、手元に届くまでに船舶輸送が必要になるなど、二酸化炭素を多く排出することとなる。購買行動を変えることで必要以上のエネルギー消費を抑えることができる。

 地域単位でのエネルギー転換を進めることも有効だ。本年度から環境省は「脱炭素先行地域」として地域の脱炭素化に取り組んでいる。沖縄からはまだ選出がないが、地域における脱炭素計画はより大きな影響を与えることができる。

 そして、これまでも変革に取り組んできたエネルギー業界も官民それぞれが情報を密に共有しつつ、時には手を取り合い、時には競い合う健全な環境づくりも必要である。

 このように小さなことから大きなことまで、エネルギーの変革には全てのアクションが必要となる。エネルギー変革を沖縄で起こすには、沖縄県全体での取り組みが必須である。

 小さな取り組みであるが、筆者は「沖縄エネルギーコミュニティ」を立ち上げ脱炭素やエネルギーに係る情報発信や勉強会を行い、今年設立した(株)エネルギーラボ沖縄では地域の脱炭素支援や未来型のインフラづくりを進めている。より多くの県民が手を取り合い行動することで、世界に先駆けたエネルギー変革の好事例を沖縄から世界に発信することができる。そのような沖縄の未来に少しでも貢献できればと思う。